少林寺の道場でヤマダさんの居場所があっても学校でヤマダさんの居場所はありませんでした。
少林寺をしている時の様にヤマダさんの得意な一面が発揮される場がないのです。
体育の授業で少林寺は無いですし、主にチームプレーを必要とするスポーツばかり。
でも、運動神経を必要としない競技や個人競技は人並みに出来ました。
ヤマダさんは球技が苦手で体育の授業では同じチームの人の足を引っ張ってしまいました。
ボールを投げれば投げたい方向にいかない、ボールを受け取る事が出来ないのです。
なので、同じチームになるのを嫌がる人たちがいた位です。
5年生の時に体育の授業でバスケがありました。ヤマダさんがいるチームはヤマダさんが原因で負けてばかりでした。
同じチームの子達はヤマダさんに球を渡さないようにしていました。なので、チームワークはバラバラでした。
ある日の放課後、帰ろうとしたら校門前で同じチームの子達がヤマダさんを待ち伏せしていました。
”文句がある、言いたい事がある”という雰囲気が漂っていて、ヤマダさんの体が固まりました。
すると、同じチームのリーダーの男の子が、
「お前がいるとウチのチームが負けるから明日の体育は休め」と心ない事を言ってきました。
同じチームのクラスで大人しい女の子でさえ、
「ヤマダさん、ごめんね。ウチのチーム一番弱くて負けてばかりだと恥ずかしいんだ。他のチームから弱いってバカにされるし」
と申し訳なさそうに言いました。
休めと言われてショックでしたが、だからと言って休むわけにはいきません。ヤマダさんは何も言えませんでした。
その日はショックと悲しさで寝られませんでした。明日学校に行ったら何か言われそう、仮病を使ってバレたらお母さんは凄く怒るハズだし、と。
次の日、学校に行く足取りが重かったです。朝ごはんがノドを通りませんでした。
そして、登校をしてきたヤマダさんを見た同じチームの子達にあからさまに嫌がられました。
リーダーの男の子「お前、休めって言っただろ!」
ヤマダさん「休む訳にはいかないよ。お母さんに怒られちゃうよ」
リーダーの男の子「お腹痛いってウソつけばいいじゃんか」
ヤマダさん「そんな、ウソはつけないよ・・・」
リーダーの男の子
「親にウソもつけないのかよ。それじゃ、体育の授業はお腹が痛いって言って見学でもしてろ!」
ヤマダさん「……」
ヤマダさんは言い返せませんでした。
体育の授業の前に先生にお腹が痛いとウソをつきました。先生が保健室に行くよう勧めたので保健室で休んでいました。
仮病で休むのは胸が痛みました。
体育の授業の後、同じチームの子達が嬉しそうにヤマダさんに話しかけてきました。
「ヤマダさん、休んでくれて有難う」
「お陰で俺たちのチームが勝ったよ」
ヤマダさんは喜べませんでした。
私なんていなければいいんだ、このまま消えてしまいたい、と惨めになりました。
幸い、体育の授業で球技が5年生最後で次の授業がマラソンになり、ヤマダさんは取りあえず球技地獄から解放されました。
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発達障害者で球技などのチームプレーを要するスポーツが苦手だったという声を耳にする事が多いです。
ヤマダさんの様に体育の授業で同じチームの人達の足を引っ張ってしまい、嫌がられたという話はよく聞きます。
中には球技は苦手だけれど、水泳や陸上など個人競技は得意という人もいます。
個人競技でもうまく出来なくて笑われたり、先生に怒られたりして運動が嫌いになるパターンはありがちです。
学校での体育の授業でみじめな思いをしたのがキッカケで何歳になっても運動が嫌いな当事者がいます。
同じチームの女の子でこんなセリフがありましたね。
>「ヤマダさん、ごめんね。ウチのチーム一番弱くて負けてばかりだと恥ずかしいんだ。他のチームから>弱いってバカにされるし」
ヤマダさんが足を引っ張るから、他のチームから弱いとバカにされた、という理由で疎外する事は決してあってはいけない事だと思います。
弱いチームだからと言ってバカにする事も決してあってはいけない事だと思います。
そして、ヤマダさんがいるチームを追い込む様な事をするのもです。
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現在は自信を付けるワークショップの開催中です(現在は参加者募集終了)。
以下は1コマと2コマ目の開催報告文です。
http://ameblo.jp/ayumukai-shining/entry-11446669103.html
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