彼は今週末まで札幌で仕事をし、
日曜日の夕方便にて帰京の予定だ。
奥様とはかなり以前から同居しておらず、
文京区のマンションに独り住まいをしている。
職場まではさほど遠くなく、
その街のことが大好きなんだって。
早ければこの秋頃には調停が終わり、
そして正式に離婚という手続きになるそうだ。
調停内容の詳細は決して言わない。
あたしがその内容を尋ねたところで、
そう簡単に言うような人じゃないことは分かっている。
あの奥様ならとてつもないような要求項目を設けただろうと、
あたしには既に察しがついている。
でも、いくら家庭裁判所とは言え、
不条理で理不尽な要求を簡単に通すはずなどない。
彼には子供が1人いる。
あたしより8歳年下の娘が1人いる。
彼女は前妻さんとの間にできた子で、
大学入学と同時に単身別居した後は家に入ってこないそうだ。
札幌に来た時にはあたしのマンションで寝泊りし、
あたしのことを「ココママ」と言う。
あたしと彼女は仲が良いのか悪いのか、
それともお互いにそこまで意識していないのか、
それに関しては未だに分からない。
彼女は「あの人と話すことなんて何もない」と、
あたしにはそのように義母のことを話す。
それどころか、はは(義母)と呼んだことなど
未だかつて1度もないらしい。
それとなくあたしのことを尋ねてみたことあったけど、
「ココママは父の恋人。それじゃダメ?」と笑って茶化した。
あたしと彼が入籍関係になったとしても扱いは同じだと、
そのようにも言う。
あたしにとって複雑な心境になる言い回しではあるが、
また反面では安堵感に近いものを与えてくれる。
ただ、これから先のことまでは分からない。
今、彼は飲み会の最中だ。
でも、昔のような放蕩な飲み方はしなくなった。
あたしにはそれが大きな救いなのかも知れない。
最近は1時30分迄には必ず帰ってきて、
そして必ずあたしと話してから眠りに就く。
それもあたしとっては大きな救いだ。
でも、先のことまでは分からない。
あ!もう駆け引きは止めよう。
彼が帰ってくるまでに風呂の湯を温めておいてあげよう。
明日の朝食の準備もしておかなければ!