私が現在の住まいに移り住んでからもう30年近くになるが、引越しの直後から気になっていたことがある。それは、自宅から最寄り駅までの通り道の途中に、標語がたくさん貼ってある一画があることだ。ほとんどの標語は防犯標語と呼ばれるもので、「お出かけは 声かけ鍵かけ 心がけ」とか「とじまりは みんなの仕事 さあ確認」とかいう内容のものだが、中には「始めよう 自分サイズの ボランティア」などというのもある。私はこうした標語にどれだけの効果があるのか極めて懐疑的なので、会社勤めをしていたときも、毎月の安全衛生委員会が退屈で仕方がなかった。その会議では、「今月の安全衛生スローガン」を決めるのに長い時間を費やさなければならなかったからである。そもそも、町を歩いていて多くの防犯標語が目につくような状態だと、初めてそこを訪れた人は「ここは防犯多発地域なのか」と思って不安になってしまうのではないだろうか。私が知っている限り、その地域だけが特に物騒で犯罪が多いということはなさそうなので、町内会の防犯委員と呼ばれる人が格段に熱心なだけなのかも知れない。いずれにせよ、私は自宅の周りにそういう標語が書かれた看板が見られないことをうれしく思うのである。
美濃加茂市中蜂屋工業団地の歴史