Bは今年で24歳になる。


Bには逮捕暦があり、


保護監察中であった。


保護司は言った。


「(Bは)子供の頃から知ってるけど、特に何か問題を起こすとか、悪い事をする子ではなかったね。大きくなってからは、仕事をクビになってばかりで長続きしないからって、夜の仕事をはじめ、仕事仲間に利用されて、逮まって。夜眠れないんだって本人は言うんだよね。親が自分を理解してくれないとか言うんだよね。なんだろうね。もう20歳も過ぎてるのにね。ああいう子は沢山見て来たけど、みんな母親がやさしいんだよね。おろおろとして子供を追い回してるんだよ。あの子の母親もそのタイプだよ。別に見放してるわけではないんだけどね。おろおろしてるから話しにならないんだよ。どうしたもんかねぇ。」




Bは、夜眠らない。

私の知っている限りでは、夜目を閉じても熟睡している様子ではなかったが、本人は「一睡もしていない」と言う割に仮眠している風ではあった。


昼は常にボーっとしていて、ちょっと目を離すとスースーと眠っている。




ある朝、Bに「精神科へ行ってみないか」と提案した。


「行きたいです」


Bはまっすぐな目をして言った。



その精神科では睡眠外来を行っている。



B 「眠れないんです。」


医師 「いつごろからですか?」


B 「17歳くらいからずっと。」


医師 「薬であなたの状態は改善されないでしょう。まずは早くに床に入る事、それから朝早くから活動する事。それが出来てない人に薬を出しても仕方ないんですよ。」


B 「なんでそうやって言い切るんですか?早くに布団に入っても寝られないから来たんです。」


医師 「君、アトピーがあるみたいだね。アトピーがあると痒くて眠れない人もいるから、まずは皮膚科へ行ったらどう?それからねぇ・・・その見た目で不眠だといわれても、こちらでもねぇ。薬は出せないねぇ。」


その瞬間Bは切れた。


B 「先生は、人を見た目で判断するんっすか?アトピーの痒さも、眠れないのも、僕の見た目のせいだとでも言うんっすか?!」


医師は呆れた顔で、Bに話しても仕方ないという顔をして私を見た。


私 「薬を出してくれと言いに来たわけではないんです。例えばカウンセリングをするとか、眠れるようになるための指導をするとか、他に方法はないんですか?」


医師 「ないですねぇ」



私は、『はぁ~~~っ?!』と思った。



その医師は、Bの目を見て話さなかった。

医師は、私の事だけを見て話し続けた。



某国立大学病院の精神科の有名な医師だと聞き、何時間も待って受診したというのに。

私の選択が間違っていたのだろうか。


たったのこれだけ?



せめて、話しだけでも聞いてあげて欲しかった。




実は、私は、事前に精神科の医師に対してメッセージを伝えてあった。


「発達障害の恐れあり」


受診前、心理テストは行われた。


だけど、以降Bは、決して精神科を受診しようとは思わなくなってしまった。





「大人は俺らを見た目で判断する。」


そういえば、非行少年たちは、いつもこう言っていたっけ。


Bは20歳を過ぎた今でもそう思っているのだろうか。





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