私の胸には大きな傷がある。
体の表面じゃなくて心のずっと奥の方。
あまりにも無邪気に信じすぎていて、疑う事を知らなかったから、
自分の事を守れずに、おもいきり大きな傷をつくってしまった。
経験した事ないくらい、とても大きく、とても深く。
とても大きくて深い傷だから、簡単には治らなくて、
そこからずっと血が流れ続けた。
昔の私がなくなってしまうほどに。
体中血だらけにして、痛くてたまらなくて、涙が止まらなくて。
でもそれじゃ生きていけないから、
その傷を無理矢理ふさいだ事にして、見ないようにした。
だけど、あふれ出す血は止められなくて、
泣きながら何度も何度もふさごうとした。
それから長い長い時間がたって、
ようやく血は流れなくなったけど、大きな黒い傷が残ってしまった。
私の流したたくさんの涙は、
小さなカケラになってその傷口に落ちていった。
最初の頃は、くすんだ色のいびつなカケラが。
そのうち、だんだんと色が抜けて、透明なビー玉みたいになってきた。
そのカケラでずいぶん傷がふさがってきたよ。
でも、もうこれ以上はムリみたい。
だって、もう泣かなくなったから。
きっと最後のカケラを入れてくれるのは、私じゃない誰か。
あたたかい、大きなその手で、
そっと傷口にふれてくれたなら。