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活字大好き本のむし 綾乃の本のつぶやきブログ

本を読むのがとにかく大好きです。
そんな好きな本の感想などを字数にとらわれず、つぶやいていくブログです。

小学生の幕井梓と、才能を失いかけた作家遙川悠真が偶然にも出会い、年の差のある友人でもない、親子でもない、不思議な2人の関係から、成長した梓が遙川のゴーストライターとなり、坂を転がるように破滅へと向い、作家遙川悠真を殺してしまった少女。
2人にしかわからない関係を、ゴーストとしてではなく幕井梓が書いた『部屋』と言う本を通して語られる、他人には計り知れない2人だけの世界を綴った作品。
 
梓が小説家遙川を神として向ける、純粋な尊敬、崇拝、執着、愛情。
作家としての才能を失い壊れていく様子を許せず、彼が断頭台へと向かっていくことを望みながら、本音ではどんな遙川でもいいから傍にいて欲しかった矛盾する想い。
そんな梓の気持ちを知っていながら、遙川も期待に答えられない自分への失望、豊かな才能への嫉妬、歪んだ執着と愛情、生き方を変えられず自ら破滅へと進んで行く。
色々な感情が入り交じった重い話で、少女と大人の男性、ゴーストライターと作家、全てをひっくるめてこれも一種の悲恋と言っていいのかな?と思えるお話に感じられました。
 
小説家を神と崇め奉る少女と、才能を失いかけた小説家としてではなく、ただの少女と大人の男性として出会っていたら、2人は他人のままだったろうし、この出会いしかなかったという思いがあるので、先を読むのが辛かったですが、それでもページを捲る手が止まらなくなる、不思議な力を持った作品です。
 
立場も性別も時代もたくさん違いはありますが、ごく一般的に知られているキリストとユダの関係を見ているような、そんな感じが本を読んでいる間も、読み終わった後もしていました。
 
 
2人の出会いが偶然だったのか、必然だったのか。
最後、駅のホームに立つ梓の選択がどちらだったのか(生か死か)は、読んだ人それぞれの感想によるのではないかと思います。
 
私は、やっぱり……   梓が選ぶとしたらこちらだろうなと思う方でした  ( ´•̥  ̫ •̥` )
 
この本、暗いし重くて切ないお話ですが、本好きさん達にぜひとも読んで欲しい1冊です。
 
試し読み
https://viewer-trial.bookwalker.jp/03/4/viewer.html?cid=d1e8ccae-ccbe-4178-b621-8abf01413e92&cty=0&adpcnt=7qM_t
 
内容(「BOOK」データベースより)
 

突如失踪した人気小説家・遙川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった一人の少女の存在があった。遙川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。しかし、遙川が小説を書けなくなったことで二人の関係は一変する。梓は遙川を救うため彼のゴーストライターになることを決意するが…。才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女―なぜ彼女は最愛の人を殺さなければならなかったのか?

 

KADOKAWA (2018/10/25)