魔法の図書館
第20話
「俺はこれから、2人が通う学校に行く」
「え!?」
と、いうわけで………………
「今日からこのクラスに入ることになりました。久留井 密です。よろしくお願いします」
「網田 李月でーす!よろしくお願いします!」
ああやって密くんが宣言した次の日、本当に学校に来てしまった。
李月くんは、密くんが学校に行くなら自分も着いていくと言い、ついでに来たというわけだ。
密くんは、書造士のボスから色々言われて、任務で来たって言ってたけど詳しいことは私は良く知らない。
また、聞いてみよっと。
そして、2人が自己紹介した後に真ん中の列の1番後ろの席に2人は座った。
休み時間。
「密、任務ってさ、どんなの?」
瑠空が密くんに問いかける。
「前、現実世界と魔法の世界を繋ぐゲートが閉まっただろ?あの事件は解決したみたいになってるけど、それには主犯がいる」
「え、その主犯って魔女じゃなかったの?」
前、西の魔女や東の魔女がって言ってた気がするけど……。
「その魔女と関係のある者を探すんだ」
「関係のある者……」
共犯者ってこと?
「そこで、俺は考えたんだ。魔女と関係のある者、それは瑠空の妹なんじゃないかって」
「えっ、めるちゃんのこと?だったら、生きてるのは本当?」
「本当だよ、姫瑠。あいつの魔力は強力だ。だから、何かの理由で魔女と手を組んでゲートを閉めることくらい、簡単なことだったのかもしれない」
瑠空は言った。
「でも、密〜?瑠空の妹がこの学校にいるわけないじゃん?なんでこの学校に来たの?」
李月くんが密くんに向かって言った。
「それは、この学校に姫瑠さん以外の特殊能力者がいるからだ。書造士のボスから、そいつを魔法学校に連れて来いと言われたんだ」
「私以外の、特殊能力者……!私も会ってみたいな」
「すぐ会えるさ。俺も、さっさと仕事を終わらせたいんだ」
密くんはため息をついた。
「あっ、でも密はこの学校の生徒になったんだから、ずっと来てくれるよね!李月も!」
瑠空が密くんと李月くんを交互に見ながら言った。
「もちろん!僕、友達欲しい!」
李月くんは目をキラキラさせている。
が、反対に密くんはとてつもなく嫌そうな顔をしていた。
「強制的にそうされるんだよ……ボスの命令だから途中でやめることはできない。というか、俺はお前が心配だったからこの任務を引き受けた理由でもある」
「えっ?俺?」
密くんは、瑠空を見て言った。
「そうだ。姫瑠さんの護衛は大丈夫か、人間関係で問題がないか、管理人としてちゃんと図書館の仕事をこなしているか、色々心配で来てやったんだ!昔のお前を、よく見てたから!」
瑠空は目を見開く。
そうだ、瑠空と密くんは昔から仲が良かったんだっけ。
瑠空は昔、書造士に追われてたって聞いたけど、その時……
「姫〜瑠ちゃん!」
「ん?あ、未瑠」
未瑠は私に微笑んでから、密くんと李月くんを見た。
「はじめまして。紗崎 未瑠です。よろしくね」
未瑠は2人にあいさつする。
「はじめまして!僕は網田 李月!よろしくね」
「どうも、久留井 密です。よろしく」
2人も自己紹介を済ませた後、未瑠は目を輝かせて私の方を向いた。
「ねぇねぇ、姫瑠ちゃんと瑠空くんって、この2人とどんな関係?昔から仲良かったの?」
あっ……どうしよ、なんて言おう?
「俺が昔から仲良くてさ、姫瑠も俺と一緒にいるうちに仲良くなったって感じかな」
瑠空が代わりに答えてくれた。
「へぇ〜、そうなんだ。姫瑠ちゃん、私の知らないところでたくさん友達作ってたんだね。羨ましいなぁ」
未瑠は私に笑顔で言った。
その時、チャイムが鳴った。
教室にいた人たちは、全員急いで席に座った。
そして、先生が入って来て授業が始まった。
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放課後
姫瑠、瑠空、密、李月の4人は図書室に来ていた。
「さて、これからお前たちにはお手伝いをしてもらおうか」
密くんが前に立って言った。
「お手伝いの内容は、禁断の書を探すこと。真っ赤の本だから、すぐに分かるはずだ」
真っ赤……?というか、禁断の書って真っ黒だったよね?
全くの別物なのかな?
「密くん、その禁断の書って、魔法の図書館に行くための本とは別物なの?」
「あぁ、禁断の書は同じ場所に2つもあると、強力な魔力が発生して、現実世界が危ないんだ。きっと、魔女が置いたんだろうな」
「その魔女って、姫瑠が昔ここで襲われた時の魔女じゃないかな?それ以外に、俺見たことないし」
瑠空が言った。
確かに、私は瑠空と初めて会った次の日に、魔女に襲われたんだ。
「ありえるかもな。だが、魔女なら魔法の図書館か魔法学校のどちらからでも現実世界に侵入できるようになっている。知らぬ間に侵入されててもおかしくない」
「うーん、まあ今は書造士や魔法使いと魔女との間でよく争いが起こっているから、いつ侵入されてどんなことされようと、普通のことなのかな〜」
瑠空は、そう言いながら頭の後ろで手を組んだ。
「……ねーねー。ちょっといいかな?」
李月くんが手を挙げた。
「なんだ?」
「魔法使いと魔女の違いって何なの?」
「あっ、それ私も気になってたの!同じではないのかな?」
私の持ってた本では、魔法使いと魔女は違うらしいけど……明確な違いが分からない
「あぁ、よく聞かれるよ。魔女は、だいたい女が多いのと、よく何かの悪名を持ってトラブルを起こすやつも多々いる。そして、魔法使いは、俺や瑠空などの書造士、管理人も入ってくる。魔法使いは男も女も関係なしにいる。悪名を持った人はおらず、みんないい人なんだ」
「へぇ〜、初めて知ったかも」
「……昔は、魔女と魔法使いはよく一緒に行動していた。しかし、2つのトップが争ったことが原因で、今も争いが後を絶たない。あのゲートの事件があってから、よっぽど酷くなったような気がする。それを止めるのも、書造士の役目なんだ」
「書造士って、やっぱりすごい大変なんだね」
「密、すごーい!」
「じゃあ、早く禁断の書を探そうよ。じぃにちゃんと仕事やってないって怒られるからさ」
瑠空が言った。
仁志さんって、本当に瑠空のおじいちゃんみたいだな……
「まあ、そうだな。何が起こるか分からないし、早く探そう」
そうして、私たちは図書室内に散らばって、禁断の書を探すことにした。
「やっぱり、禁断の書があるのはあの真っ黒の書がある近くじゃないかな……?」
私は、受け付け近くの奥の本棚に行ってみることにした。
真っ黒の禁断の書の近くを見ても、真っ赤な本は見当たらなかった。
「あれ?近くじゃないのかなぁ?」
「あっ!密〜、見て見てー!」
李月が密の近くに行って、ある本を指さした。
「あったのか?」
「ううん、違うよ。う○こ漢字ドリル!」
李月は、嬉しそうにそのドリルを手に持って、見せびらかしてきた。
「は?お前、アホか」
密は、李月の頭にデコピンをした。
「いたっ、え〜何でよ」
「今、それ1ミリも関係ないだろ」
「僕これ好きなのに。面白いし」
全く、李月はいつまでも陽気な男の子だな……
でも、ずっとこのままで居てほしいって気持ちもある。
「……?どーしたの?そんなにこれ嫌だった?ごめんね」
「……いや、嫌なわけではない。あーもういい!ほら、お前さっさと本探すぞ」
俺は、李月からドリルを奪い取り、元あった場所に戻した。
そして、李月の手を掴んで一緒に本を探した。
「姫瑠!あった?」
「あ、瑠空。真っ黒の本の近くにあると思ったんだけど、全然なかった。違うところにあるかも」
「わかった。じゃあ、一緒に探そう」
「うん!」
そして、私たちが中央の本棚に移動しようと思った瞬間、ガラガラガラと図書室の扉が開いた。
その人は、長い髪をひとつにまとめていて、スラッとしていて背が高く、美人な人だった。
図書室に、普段人は全然来ないから珍しいな。
「……あら?珍しい、先客が4名も……」
密くんと李月くんも気づいたらしく、私たちの方へ歩いてきた。
「ん?あら、もしかして……あなた書造士?」
その人は、密くんを見て言った。
「よく分かったな。あなたの名前は?魔法に、関係のある方ですか?」
「えぇ、そうよ。だって、私は魔女ですもの。書造士と一緒にいるなら、他3人の方々も魔法に関係のある人でしょう?なら、名を名乗りましょう。私の名前は、朝宮 琉稀(あさみや るき)です。よろしく」
「琉稀?どこかで聞いた事ある名前だな。お前、何か悪名を持っているか?」
「ごめんなさいね、私いつも悪名を隠して過ごしていますの。私のことは、そのまま琉稀とお呼びください」
その言葉を聞くと、密くんは怪しそうに琉稀さんを見つめた。
「珍しいタイプだ。今まで、悪名を伏せて活動している魔女なんて、出会ったことがない。何か、企んでいるのか?」
「そんな、滅相もないことしませんよ。今は優しい魔女に生まれ変わったのです。悪名を伏せているのも、昔の過ちを忘れるためです」
琉稀さんは、笑顔で話している。
見るからに良い人っぽいけど、違うのかな?
私には、まだまだ分からないことばかり。
魔女が、心を入れ替えて優しい魔女になることってあるの?
私が昔持ってた本には……って、あぁ!!
「瑠空!」
私は、瑠空に飛びついて名前を呼んだ。
「え、なに?」
瑠空は困惑した顔をしている。
「私の、《魔法の図書館》の小説、返してもらってない!没収されてから、いい加減返してよ!」
「い、今ぁ!?」
「あら、あなた……もしかして、その小説に興味があるの?」
「え、えぇ……はい……」
琉稀さんに話しかけられて、少し顔が赤くなる。
空気読めない人って思われて、気使ってくれたんじゃないよね?
「その本はね、この魔法の世界では、予言書として扱われているの。だから、現実世界でその本を持っている人がいれば、没収するという決まりがあるのよ。あなたの隣にいる子も、この決まりを守ってくれたのね」
「……まあ、そうだね」
え、あの本が予言書?
あのどこにでも売ってる小説が?
いや、待てよ……あの小説の在庫が全然なくて、運良く大きな本屋さんで見つけた小説だったから……ありえる?
それなら、私とんでもないもの手に入れてたの!?
「尚更返してほしい……」
「えっ、だ、ダメだよ!あの小説は普通に危険なんだよ!まず、先に未来を知るってのも危険なのに……!」
「え〜」
まあ、やっぱりそうか。
未来を知るってちょっと怖いし……
ダメか〜。
「私が、願いを叶えてあげましょうか?お嬢様」
「……え?」
「ただし、これは交換条件です」
琉稀さんは続ける。
「ここに置かれている、真っ赤な本を、私に渡して下さい」
その瞬間、琉稀さんの笑顔が、奇妙なものに変わった気がした。
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またまた投稿期間が空いてしまい、本当に申し訳こざいませんでしたm(_ _)m
最後まで読んで下さり、ありがとうございました![]()