私は弱い。


病気になって初めて

自分がこんなに弱い人間だと知った


他人が羨ましい


その羨ましさが妬みになり


性格が歪んでいく



かわいそうと思われたくない


だけど


このつらさを誰かに聞いてほしい

知ってほしい


自分が嫌いになることもたくさんある



一人になるのが怖い


このまま弱っていく自分が怖い



醜いところも頑張れないところも


私の弱さなんだと思った




ふと学生時代を思い出した



小学校では親友と思っていた人に裏切られ


無視、陰口、仲間はずれ、菌扱い

男女問わずいじめられた

給食の時間とグループ行動が一番つらかった

授業中に女の子たちがノートの切れ端でお手紙交換してるのも怖くて仕方なかった

掃除の時間にそのノートの切れ端を拾って

“書かれてるのは私のことだ” と

捨てられず持ち帰ったこともある


みんな私を腫れ物扱いして

触りたくないからって理由で

給食の牛乳は投げられた


給食で机をくっつけなきゃいけないときも


汚いと机を離された


みんなに好かれたくて

進んで誰かの役に立とうとした


でもその目立つ姿が仇となり

いじめはなくならなかった





でも、親からは愛されていた

親に心配をかけたくなくて

学校でのことは話せずにいた


惨めだしね



きれいにアイロンがけされたナフキンや巾着を見ると胸が痛くて視界がぼやけた


私が学校でこんな思いをしてることを親が知ったら


どれだけ悲しむんだろう


可愛い服を着せて可愛い勉強グッズを持たせて


祈る気持ちで見送ってくれている親に


合わせる顔がなかった




私は誤解を招くところがあるから

いじめの原因はきっと私にもあったんだと思う


でも、少なくとも今の私よりは


純粋で優しい子だったと思う



学校に行きたくなくて仮病を使う日もあったし

お母さんに学校まで送ってもらう日もあった




唯一、楽しく通っていた塾にも親友は現れ


また私はひとりぼっちになった


勉強どころではなくなり

塾を変えた




中学校に上がっても

状態は良くなるどころか悪化していった


目立ちたがり屋の私はリーダーや応援団、
実行委員に積極的に立候補するものの

カースト上位の男女のいい餌食となった


学校に行くのがつらかった

お母さんに車で学校まで送ってもらっては

遠ざかっていく車の後ろ姿を見ながら泣いた


そのままどこか遠くに行こうかとも考えた


校門を入って校庭を歩いて


校舎が近づいてくるにつれて

足は重くなり、呼吸は苦しくなった


教室に入るのが怖かった


人の視線が怖かった



持久走ではダントツのビリ



心配してくれる友人なんていない



走り終わると周りが私をバカにしてるのが分かった


記憶がなくて
詳しく何を言われたかは覚えてないが


やばくない?といった感じだったと思う



今思えばそれは肺高血圧症を患っていたからだった


でも当時は病気の疑いはなく


ただ私が弱いだけだと思っていた


みんな苦しくても頑張って走ってるのに

私は頑張れない人間なんだ、と



これだけつらい学生生活だったはずなのに


なんだかんだ不登校になることはなく

学校に通い続けた



どんなに憂鬱でも最後には


今日は上手くいくかも


今日は仲良くしてもらえるかも


そのわずかな期待が私を学校に向かわせていた


もちろん上手くいく日もあった


そういう日は帰り道に

今日はラッキーだった

と噛み締めていた


いじめられたときは


やはり今日もいじめられた



と早足で帰った



そんな毎日を繰り返しながらも


自分なりに楽しみを見つけながら

学校に通い続けた


恋もした



高校受験は、同級生のいない私立を選んだ


高校はすごく楽しかった


一生ものの親友たちにも出会えた


あの高校に通わせてくれた親には感謝してるし


自分の決断にも感謝してる



大学でも折の合わない人はいたが

親友と出会い楽しい学生時代を送った



でも小中学校のトラウマは消えなかった


音楽の世界に入っても


トラウマは何度も蘇った



そして今


私は塾講師をしている






病気で仕事も制限されたため

仕方なく始めた塾講師だが


私なりにやりがいを持って働いている


通っている生徒の中には私の母校の在学生もたくさんいる


つらい思い出が蘇ると思いきや


懐かしさすら感じる


私の中で、いじめられた過去も

思い出になりつつある



自分が生きたしんどい時代を生きる子どもたちを見ていて、幸せな学生時代を送ってほしいと心から願ってる


今は昔と違ってネットが発達し


いじめのバリエーションも増えた


ある意味 今の方が残酷かもしれない


そんな今を学生時代に生きる生徒たちは

楽しく学校に通えてるか心配になる


親のような気持ち



可愛い文房具や可愛いランドセルを見ると


盗まれたりいじめられたりしないか心配になって


心が苦しくなる


笑顔で塾にやってくる生徒は

学校ではどんな生活を送ってるのかとよく考える


生徒たちから楽しい話が聞けると私もうれしくなる


多分、自分の体験として重ねてるんだと思う



以前、偶然 授業を受け持った生徒は
私の母校の中学校でいじめにあっていた


話を聞いていくうちに学生時代の自分と重なってつらくなった

でもそのつらさは自分の過去を憂いでのつらさではなく


自分と同じような思いをしている彼女を察してのつらさだった


彼女は同級生のいない私立を志望していた


私は自分の経験を踏まえて全力で背中を押した


その後、彼女は塾を辞めた


もう今頃は高校1年生


私と同じように楽しい高校生活を送れてるといいな

親友に出会えるといいな



ずっと気にかけている



私は実は強い人間なのかもしれない


学校でどんなにいじめられてもつらくても

少しの希望を信じて学校に通い続けた


トラウマレベルの学生時代を送ったのに

今は教育の現場にいる



折れても折れてもまた立ち上がるのは

私の強みなのかもしれない


だからきっと


病気も乗り越えられる


病気と苦しんだ日々を

いつか思い出として思い返せるくらい


強い人間なのかもしれない



自分がどんなに苦しくても


他人に優しさを向けられる人なのかもしれない



今は余裕がなくて全然できてないけど


きっとそのうち

自分の足で立ち上がる日が来るんだと思う




そんなことを考えてたら


少し希望が持てた



まだまだ時間はかかると思うけど


私なら大丈夫