夫の浮気相手へ 妻からのお願い
「はじめまして。妻のアヤメです。
結婚の際には、お祝いを頂き、ありがとうございました。」
「いえ・・・」
「もう、大体のお話は、お義母さんの方からあったと思いますが
私は、あなたと主人との関係を知り、大変なショックを受けました。
分かりますか?わかりますよね?Yさんも、過去に同じ思いをされて
ご主人と離婚されていると聞きました。
相当、辛い思いをされた事とお察しします。
もしあなたが、もっと若く、何も考えていなさそうな女性だったのなら
私はこんなことをあえて言いません。
ですが、あなたは私より年上で、いろいろと経験もされてる。
人の痛みが分かる方だと思う。
ですから申し上げるのですが、なぜ、こんな事を続けたのです?
結婚を機に止めてくれれば、まだよかった。
そうでしょう?
結婚して、一緒に暮らして、楽しい毎日を送っていたと思ったら
実はずっと裏切られ続けていた。
「行ってらっしゃい」と送り出した夫が、その直後に
毎日、私の知らない女性へと
「おはよう、行ってきます」とメールをしている。
帰宅前だって、そう。
そんなやりとりを目の当たりにした時の私の気持ちを考えてみて下さい。
本当に悲しかった。
私は自分の存在が何なのか分からなくなりました。
今となっては結婚式なんてね、とんだ茶番劇ですよ。
ものすごく費用の掛かったね。
あなたは、自分のしている事の恐ろしさを感じませんでしたか?
もし、結婚式の前日に私がこの関係に気付いてしまったら
どうなったと思います?
あなたも、私も、彼も。
主人はね、いえ、大抵の男の人はそうなのですが
欲望に任せて、深くを考えない。
でも裏切られた妻の苦しみを知るあなたは違うでしょう?
ごめんなさいね、勝手に決め付けて。
私はね、この結婚を本当に祝福してくれた人達に申し訳ないと思ってるんです。
お義母さんにしても、私の実家の両親にしても。
私の父がどんな想いで、私を嫁がせたと思いますか?
あなたも親なら分かるでしょう?
自分の娘がこんな思いをしたら辛いでしょう?許せないでしょう?
そんなに泣かれてもね、謝られてもね、もう遅いんですよ。
やめてください、土下座なんて!
私はそんなことがして欲しいわけじゃないんですから!!
私の気持ちは分かっていただけましたか?
それでは、私からあなたにお約束して欲しいことがあるんです。
私はこの事を知った時に離婚しようと思いました。
あなたにも、主人にも、しっかり慰謝料を請求するつもりでいましたが
どうしても離婚したくないと説得をされ、考え直しました。
今からお願いする事は、私が離婚をしない条件でもあるのです。
別れてもらう事は当然として
一つは
もう絶対に連絡は取り合わない。二度と二人では会わないこと。
二つ目は
今まで互いに贈ったプレゼントは返すこと。
三つ目は
どちらかが会社を辞めることなんですが
私の目的は、二人が話さなくても
会社で顔を合わせ続けると言う事が、不安を招き、耐えられないので
それさえ解消できれば、どちらが辞めても構わないんです。
ですが、もし、主人が会社を辞めてしまい、所得が減ったとしますよね?
すると、この事が原因で、私は更なる被害を被るわけです。
それじゃあ、いくらなんでも馬鹿馬鹿しい。
だったら、そんな危険なことはしたくない。
そう思うのは当然でしょう?
ですから、これ以上私に迷惑を掛けないためにも
あなたが会社を辞めてください。
そして、当然ですが、会社にこの事が分からないようにしてくださいね。
もし、少しでも噂になるような事があれば、私はあなたが触れ回ったと判断し
それなりの対処をさせていただきますから。
私からお願いする事は以上です。」
「・・・分かりました。すべてお約束します。
でも・・あの・・・私にも生活がありますので
明日辞めるってわけにはいかないんです。
すぐにでも次の仕事先を探しますから、少しだけ
待っていただけませんか。」
「ええ、それはこちらもわかっています。
明日辞めろなんて事は言いません。
ですが、私も早く安心して落ち着きたいので
早急にお願いしますね。」
「はい。それはもちろん、必ず。」
そんな風に話は終わり、彼女は念書を書き
拇印を押した。
黙って小さくなりながら、その一部始終を聞いていた旦那。
彼も彼女も、一度も目を合わそうとはしなかった。
私は旦那に彼女へ謝るよう促した。
それはここへ来る前に、二人の話し合いの中で決められていた事だった。
彼女とは遊び。
そのことを彼女にはっきり自覚してもらうためにも
「遊びの結果、こんな事になってしまって申し訳ない」と謝ってもらいたかった。
彼自身も、彼女に対して迷惑をかけることになり
申し訳ない気持ちで一杯だった。
そして、お互いに会話が出来るのは、これが最後の機会なのだ。
「迷惑を掛けてしまって、悪かったね・・・ごめんなさい。」
旦那から発せられた言葉からは「遊び」の言葉は抜けていた。
彼女はうつむき、何度も頭を下げながら、小さく「いえ、こちらこそ・・・」と答えた。
夫の浮気相手とご対面
当日の私は、少し興奮していた。
血気盛んに出陣を待つ兵士のように。
鎧は、完璧なフルメイクと、さりげなく上質な服とアクセサリー。
くだらないと侮る無かれ。女はそんなものをも自信に変えられる。
旦那の携帯に残っていたメールや写真から想像した相手の女性は
外見はキレイだけど、年甲斐も無く、若い男との火遊びに溺れて
浮かれている馬鹿女だった。
自分が本気で愛されてるとでも思っているのだろうか?
そのはしゃいだ様子が癇に障る。
彼が婚約する前に、付き合っていたなら私達きっと・・・
そんな風に悲劇のヒロイン気分に酔いしれているのではないかと思えた。
いや、もしかしたら、旦那の言うように、擬似恋愛を楽しみながら
セックスフレンドとして割り切っていたとも考えられる。
彼のパンツを欲しがったり
局部の写真を送ってくるくらいだから、そういう見方も出来るのだ。
ひつこいようだが
そんな馬鹿女に、私は絶対負けてはならない
話し合いの会場は、旦那の実家。
時間より少し遅れて行くと、小柄で地味な女性が立っていた。
この女が旦那の浮気相手・・・
近寄って姿を見た瞬間、私は目を疑い、どっと力が抜けた。
何なの??このスーパー帰りの疲れた主婦は??
なんと、腕には輪ゴムが巻いてある。
その生活感は、私の想定の範囲を遥かに超え
とても彼女を惨めにさせていた。
こんなのって、あんまりだ
私の戦意は空回りし、ものすごい脱力感に襲われた。
相手は最初から土俵にも上がっていなかったのだ。
そして、こんな疲れたおばさんに対して
旦那は酷い事をしていたのだと、無性に腹が立った。
彼女は騙された哀れな被害者なのだと。
私達が到着した時すでに、彼女の目からはたくさんの涙が流れていた。
気の毒に・・・こんな小さい体を震わせて・・・
しかし、ここで情に絆されて、言いたい事を言わないわけにはいかない。
大人として、きっちり責任を取ってもらわなくてはならないのだ。
姑の心変わり
私はこの問題を、すべて義母任せにしてしまってよいのか悩んだ。
義母には余計な心配をかけることになり、申し訳なく思ったが
旦那の浮気再発防止と、懲らしめの為には
二人だけの問題にしてはいけないと思った。
しかし、別れ話までしてもらおうとは全く考えていなかったので
「私にすべて任せて」との申し出に戸惑ってしまったのだ。
でも、義母の
「相手には会わない方がいい。会えば、余計な気持ちが生まれるから。
私が上手く話をして、アヤメちゃんの希望通りにしてあげるから。
だから、絶対にご実家には言わないでね。帰るなんて言わないで。
これは、ウチの問題。あなたはウチが貰った、私の大事な娘なの。
もう、実家は関係ないんだからね。」
と言う言葉に
そこまで言ってくれるのなら、甘えさせてもらおうという気持ちになった。
ただ少し「もう実家は関係ない」のセリフが引っかかってはいたが・・・
二日後、話し合いが持たれることになった。
すると、どういう心境の変化だろう?義母が
「やっぱり、アヤメちゃんから直接言いたい事を言った方がいいと思うの。
そうしないと、すっきりしないと思うのよね。
もちろん私もサポートするけど。」
と言う。
一体どうしてしまったのか??とも思ったが
義母の気持ちを考えると、相手だけが悪いわけではなく
自分の息子も同罪で、ましてやYさんは知人。
強気で相手をたしなめる事なんて、出来なかったのだろう。
私は、覚悟を決めた。
浮気相手に会って、言いたい事、全部言ってやる。
不安に思うと同時に、楽しみ始めている自分に気付いて驚く。
え?私、バトル好き?(いや、違うから。笑)
とにかく、負けてはいけない。
浮気夫が不倫相手に見せる誠意
さて、この期に及んで、旦那にはひとつ譲れない事があった。
Yさんに迷惑は掛けられない
(Yさんには俺から上手く言うから、お前ら手出しするなよ)
妻の私からしてみれば「?」な話である。
あなたとYさんによって
こんなにも迷惑を掛けられているこの私に向かって
よくそんなことが言えるものだと、呆れるやら腹立たしいやら。
それが男としての誠意だと思ってるのなら
えらい勘違いをしているのではないだろうか?
あなたが今、誠意を見せなければならない相手はYさんじゃない。
Yさんに対しては、法律上、あなたは何の責も負ってない。
それがどういうことだか分かりますか?
結婚した以上、妻には既婚の事実を知りながら不倫の関係になった相手に
慰謝料を請求する権利があるのはご存知?
両方を大切にしたいなんて
そんな自分勝手な理屈が通ると思ってるのだとしたら
あなたは相当おめでたくて頭が悪いよ。
旦那の母は、彼のそんな態度を見てピシャリと言った。
「相手の女が大事なの?自分の妻が大事なの?
答えははっきりしてるんでしょ?
お前が今、守らなくちゃいけないものはアヤメちゃんと家庭でしょうが。
あっちもこっちもいい顔したいなんて、そんな調子のいいこと言ってると
全部失くしちゃうってことが分からないのかい!」
すごい剣幕で叱り飛ばす母の言葉に
目が覚めたのか、観念したのか
彼は母とYさんが話し合う事に承知した。
義母は、彼とYさんが、例え別れ話であっても
二人でやり取りする事を禁じた。
「アヤメちゃんの気持ちを考えたら、別れ話だろうがなんだろうが
もう二度と話すことは許されないんだよ。」
不倫の後始末 姑登場!!
心の中では 離婚まですることはないかな と思い始めていた私。
けれど、しばらくは、懲らしめと旦那の気持ちを試すために
「離婚の気持ちは変わらない」と言い張った。
旦那は
「どうしても別れたくない。
どんな償いでもする。
信用を取り戻すのは簡単な事じゃないけど
俺はそれが出来ると思ってるから。
頑張らせて。もう一度チャンスをください。
でも、何がなんでも離婚したいって言うのなら、嫌だけど
絶対嫌だけど、でもそうするしかないって分かってる。
けど、例えそうなってしまったとしても
この家でずっと一緒に暮らして欲しいんだ。
離れるのだけは、どうしても嫌なんだよ。」
そう、何度も繰り返した。
私は自分の発する言葉が
今の旦那にとって、鋭い刃物であることを承知で
ひたすらに浴びせ続けていた。
その間、彼はずっと私を抱きしめた。
触れていないと、不安でたまらないという顔をしながら。
懲らしめ作戦
実家にしばらく帰ってやろうと思った。
しかし、私の実家に知られ、離婚へと話が急速に進むのを恐れた旦那は
断固として反対をした。
私の気持ちが安定するまでは、絶対に知られてはいけない、と思ったらしい。
「じゃあ、私は誰に相談すればいいの?
こんな恥ずかしくてみっともないこと、友達にだって話せやしない。
一人で悩んでろって、そう言いたいわけ?
私の実家がダメだって言うなら、あなたの実家に行こうよ。
そこで、洗いざらい全部話して、お義母さんを悲しませようか?」
旦那は少し考えてから、覚悟を決めたように
私が実家に帰るくらいなら自分の親に話した方がいい、と言った。
浮気発覚から数時間後、旦那の実家ですべてを話した。
彼の母にとって、旦那は自慢の息子だった。
新婚の二人が、幸せで順調に生活を送っていると思っていたのに・・・
まさか、息子の不貞により、離婚の危機を迎えているとは。
しかも、自分の知人と。
そう、彼の母とYさんは顔見知りだった。
近所だということもあり、付近のスーパーでよく顔を合わせては
会社での息子の仕事振りなどを聞いたりしていたのだ。
「昔はよく喋っていたけど、最近はどことなく
避けられてるような気がしてたのよね。
にしても、裏でそんなことをしていたとは!
まったく冗談じゃない、人を馬鹿にしてるよ!!」
そして、彼にどうしたいのかを訊ね
彼が私とは絶対に別れたくないと思っていること
Yさんとはもう別れるつもりでいることを確認してから
「私がうまく話をつけるから。安心しなさい。」 と言った。