ACTHOUSEでお世話になった西本健太朗 さんご出演の
劇団時間制作 『 吸って吐く』を観ました。
以下ネタバレあり
娘を交通事故で失った夫婦
二重人格の息子と、息子を守る母と、かつて暴力を振るっていた父と、心の底で親を求めている娘
集めた募金、150万円を盗まれてしまったボランティア団体
新婚ホヤホヤで強姦された妻
たくさんの悲劇が、たくさんの想いが、たくさん過去が、交錯して押し寄せてきました。
幸せって何なのか
何が正しいのか
何を求めているのか
自分はどうしたいのか
登場人物それぞれの苦しみがひしひしと伝わってきました。
全員が主役で、
全員が誰かに影響を与えていていました。
すごく心にずっしりくる重たい題材だったけれど、
でも置いてかれる感じはなくて、
世界に引き込まれて、何度も何度も何度も涙がでました。
少しずつ現れる様々な真実に、観ているこちら側も翻弄されたりもしました。
特に、
二重人格の演じ分けに哲人役の田名瀬さんに圧倒されました。
娘を殺した男への復讐心と、
その男の娘に抱いてしまった親としての愛情に苦しむ佐藤役の野村さんのお芝居にひきこまれ、やり切れない思いになりました。
にしけんさん演じる新婚夫婦の夫の、強姦のことを知ったときのシーンも印象的でした。人生最大の怒りと苦しみと、硬い決意を感じるお芝居でした。そして、周りの役の方にもそれぞれの事情があって、その苦しみが、にしけんさんと相手役の香月さんのお芝居を引き立てていました。
情報量が多いのにスッと入ってきてとても分かりやすい、物語の世界に没頭させてくれる脚本・演出
役者さんの湧き出てくるようなお芝居
空間を無駄なく、無理なく使った、たくさんの出来事の交錯を表現するのに最適な舞台美術
どこをとっても素晴らしくて、
いつか大きな劇場でお芝居をつくるであろう時間制作さんの舞台を、近距離でみることができて、貴重な時間でした。
谷さん凄い…