周手術期の看護の中でも、術後の合併症の観察は非常に重要です。



ひとことに術後合併症といっても、その種類や出やすい時期はさまざまです。



今回は、代表的な術後合併症の種類とその出現時期について説明します。


術後合併症


1.術後合併症のポイント
術後合併症について理解しておくべき 


3つのポイント
起こり得る合併症
その合併症が起こる理由と仕組み
その合併症が起こり得る時期


急性期看護実習では術前、術中、術後の看護について学びます。


手術前後は状態の変化が激しく、1日ずつまったく違う状態だと考えていただいても大丈夫です。
確かに、患者さんの状態は日々、刻々と変化していきますがその変化は、おおよそ一般的な経過に則しています。


病院では適切な時期に適切なケアが漏れなく実施できるように、術前/術後パスというものを用いて、看護ケアを行っている場合が多くあります。



2.術後ケアでメインとなるもの
手術前後の経過はまったく予測不可能なものではなくて手術をする前から、おおよその経過の予測ができるものです。


術後にメインとなるケアは、「合併症予防」です。



いつ、どんな合併症が起こり得るのか。

そして、おおよそ何をするべきなのか。
それを知ることで、適切な時期に、必要な観察やケアができます。



3.術後合併症の種類とその出現時期
術後合併症はおおまかに次の4つに大別されます。



手術操作そのものに関連する合併症
例)消化管手術後の縫合不全、膿瘍、手術後出血、術後腸閉塞(術後イレウス)など



2.手術侵襲に起因する合併症
例)疼痛、心不全、肺水腫、無気肺、不整脈、肺炎、腎機能不全(腎不全)、肝機能障害(肝不全)、ストレス性潰瘍など



3.麻酔に関連する合併症
例)手術後精神障害(不隠・せん妄など)、嗄声、深部
静脈血栓症、神経麻痺、悪性高熱症、排尿障害(とくに硬膜外麻酔使用時)など



4.術後管理に関連する合併症
例)褥瘡、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、肝機能障害、腎機能障害、輸血によるGVHD(移植片対宿主病)など



4.術後合併症の出現時期

主な術後合併症の種類と出現しやすい時期について下記にまとめましたのでご活用ください。



主な術後合併症の出現時期

1.術後出血術直後~48時間以内

2.縫合不全術後4~10日まで

3.術後疼痛術直後~5日以内

4.術後感染症手術部位感染は、術後30日以内(人工物を挿入する手術では1年以内)

5.呼吸器合併症無気肺は術後3日以内、肺炎は術後3~5日ごろ

6.深部静脈血栓症(DVT)術直後~1週間程度

7.術後せん妄術後1~2日程度してから出現し、1週間前後続く

8.術後イレウス術後3日~7日ごろ


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