小説を読みました。


定時制の高校に通う生徒たちのお話です。

生徒といっても、年齢は様々。

20の金髪ヤンキー男、70のおじいちゃん、40のフィリピンハーフの女性、10代の女の子…



担任は藤竹という人物。

彼は、昼間は大学に出入りするような研究者という肩書きをもちながら、定時制高校の教員をしています。宇宙関係の研究をしているらしいです。



学校に通う生徒たちには、暗い闇であったり、重い過去を背負っていたり、それぞれ事情を抱えています。



共通するのは、「諦めきれない」ことがある。



読み書きが思うようにいかない障害に気づかず、周りの非難を受け、勉強することを諦めた。

家庭でのストレスから朝起きることができず、学校へ通うことを諦めた。

家族のために、懸命に働き続け、進学することを諦めた。


だけどやっぱり心のどこかでは諦めきれない何かがある。

そんな気持ちは、生徒の中で共通するものだと感じました。



藤竹先生が彼らの気持ちを察知しながら、科学部に誘っていくんです。上手に、興味を向けさせるんですよね。まさに、「食えん男」です。



生徒たちの力で、火星のクレーターを再現する実験が始まります。

研究発表に向けて、活動に熱が入ります。


彼らは、ちぐはぐです。

些細なことがきっかけで、トラブルが起きます。

バラバラです。

「もうなんでこんな言い方するの!」「そんなことないのに…」と何度も思います。

ですが、本当に不器用ながらも、徐々に仲間になっていくんです。

もちろん、自分たちの力だけで進んでいくのではなく、藤竹先生、英語の先生、養護教諭、家族からも支えられています。



藤竹先生のお話も登場し、なぜ、定時制高校で科学部をつくろうと思ったのかということも、話されます。



実験の様子や、使用する装置の説明なども細かくて書かれています。

その辺は難しくてよく分かりませんでした!笑



生徒たちが、過去と向き合い前に進む強さに心打たれます。

彼らは自分のやるべきことが分かり、全力で生きていました。



最後のシーンでの藤竹先生の言葉が印象に残っています。


「自分の将来を、一本の道のように見通せる人はいません。誰しも、いるのはいつも窓のない部屋で、目の前には扉がいくつもある。とにかくそれを一つ選んで開けてみると、またそこには小さな部屋で、扉が並んでいる。人生はその連続でしかない。」

(宙わたる教室P277)