まやまにあ * うさぎさん推し

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❥︎ ARASHI Masaki Aiba
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「じゅーーーんーー。」



(……きた。)


俺は忙しい、今は忙しいんだ。聞こえないふり。



「これから冬だしね。外寒いよね?BARまで車で送って?」



大学には行かずバーテンダーをやってる彼の出勤時間は夕方から深夜まで。ちなみにこの頃俺は大学生だった。車なんてもちろん持ってない。相変わらずまた変な事言う人だな、と軽く聞き流そうとしても今日の彼もしつこい。



「ねぇ潤ってば、聞いてる?」



彼の家を掃除するふりをしながら忙しく手を動かす俺の首根っこを引っ張ってバランスが崩れる。



「おわっ!聞いてるよ、でも俺車持ってないって雅紀さん知ってるだろ?」



仕方ない。しぶしぶ会話に付き合う。



「だからさ買ったらいいじゃん!潤もバイトしてるんだからローンで買えるよ!」



え?



「いや、あの。俺まだ大学生なんですけ

「買おう!車。そして毎日おれを送って?」



俺の言葉を遮って話を進めていく彼。何を言っても聞いてくれない。挙句の果てには



「じゃあ仕事仲間の翔ちゃんにでも迎えに来てもらおっかな〜」



なんて言うもんだから、焦りで何も言えなくなった俺は無理矢理手を引かれ、新古車屋さんに連れて行かれた。



「頭金は現金かー。しょうがない、おれが出しておくから出世払いね!」



審査に通る訳もないと思っていたら、彼のよそ行きの笑顔に騙された担当がまさかまさかのオッケーを出し、購入決定。思い付いたらその日のうちに無理矢理車を買わせるとんでもない男が俺の恋人なのである。



「潤、送り迎えよろしくね」



なんてことするんだよ!と怒るつもりがにっこり笑う彼に「はいはい」と頷く俺は、相当バカらしい。



これが初めての俺のローンのお話。








冬は寒いから送れ

夏は暑いから送れ



彼はまるでどこかの宗教の教祖様のように俺を操るのが上手い。雅紀教か?雅紀教なのか?


車を手に入れた瞬間から俺は彼の専属ドライバーとなった。まぁでも良く考えたら、ばあちゃんを病院に送って行く事もできるし、彼の家に行く時だって電車を乗り継ぐ苦労もなくなった。買い物で彼が買った大量の荷物だって持つのはなかなか辛かったけど車があれば。いやこれはそもそも彼が持てばいいだけだけど。まさか、彼はこれも全部計算して……いや、彼に限ってそれはない。いつだって自分を中心に世界が回ってると思っていて、実際に自分を中心に世界を回す事のできる人だ。



初めて出逢った日何枚もの猫を被った彼は付き合いが長くなるにつれて一枚、一枚と仮面を脱いで行く。


オシャレなカクテルを飲んでほろ酔いで微笑んでいた姿は幻で、ビールでどこまでお腹が膨れるかチャレンジするのが本当の姿。合コンでさえ誰にでも平等に接する優しい姿は幻で、人の鼻毛を見つけては俺に耳打ちして爆笑するのが本当の姿。


素を見せてくれて嬉しいような、素の彼を知っても手遅れで、後には引けず悲しいようなそんな複雑な気持ちにさせてくれるのはきっと世界で彼一人。



あの日彼と出逢うまで、自分がどんな生活を送っていたのか思い出す事ができないくらい、俺の世界は彼を中心に回っていた。