こんにちは。
東京はえらく風が吹いていましたね…
朝方は雨も降っていましたが、晴れ間が見えて、傘もいらなくなりました。
さて、本日は「雨上がりの詩」ということで、
北宋の秦観(しんかん)の詩をご紹介します。
簡単にこの秦観という詩人の紹介をさせていただきますと、
このお方、なかなかマイナーな詩人だと思います。
まず北宋という時代で「いつだっけ?」となり、
かつその中でもビッグネームというわけでもないので、
漢詩に詳しい方しかご存知ではないとおもいます。
秦観は男女の恋愛を詠った詩が多く女性的というのが通説ではありますが
(※秦観は男性です)、風景描写、特に光の観察が上手い詩人だと
個人的には感じています。
そんなことをすこし念頭においていただいて、詩を見ていきましょう。
【春日 其二】
一夕軽雷落万糸 一夕 軽雷 万糸を落とし
霽光浮瓦碧参差 霽光(せいこう)瓦に浮かびて 碧参差(しんし)たり
有情芍薬含春涙 有情の芍薬は春涙を含み
無情薔薇臥暁枝 無情の薔薇は暁枝(ぎょうし)に臥す
《訳》
昨夜 かすかな雷と無数の糸の雨
朝の光は瓦に浮かびあがり その瑠璃色がきらきらと輝く
春の涙にぬれた物憂げな芍薬と
暁の枝にうなだれるように咲く薔薇の花
言葉の解説をしておきますと、「軽雷」はかすかな雷、「万糸」の糸は雨のことで無数の雨の意味、「霽光(せいこう)」は晴れた空から差し込む日の光、「碧」は青色・エメラルド色、「参差(しんし)」は「まばら 不ぞろい」という意味で今回は「光がきらきらと輝く様子」だと解釈しています。
後半の「薔薇」は西洋のバラではなく野薔薇のようなものをイメージしてもらえればと思います。
雨上がりの街の様子を描いた作品です。形式は七言絶句。
前半の2句は雨上がりの街に反射するまばゆい光が、後半は花の姿をかりながら退廃的な美しさが感じ取れます。街を照らす光とそれに照らされる雨の水の印象が全体を貫き、後半から出てくる擬人化された芍薬と薔薇の赤色がみずみずしさと共にグッと前面にでてくる、色使いが綺麗な、絵のような印象を受けます。
僕はこの詩を読んだとき、それまでの漢詩のイメージがすべて吹き飛んでしまいました。
大きな志や高ぶる感情は一切無いですが、まぎれも無く漢詩なんですね。女性にも受け取れる花の姿とそのどこか無気力をにおわせる雰囲気もあいまって、すごく新鮮な印象を受けたのを覚えています。
彼の生きた北宋は唐の次の時代(正確には五代十国のあと)の王朝です。
中国というと原色全開のドギツい色使いとやたらと大げさな表現が先行してしまうのですが、
この宋代は実はそうでもない。水彩画のような淡白ですっきりした印象を受ける詩も多いです。青磁やお茶といった文化が出てきたのもこの時代なんですね。
興味がある人は調べてみてください。
長くなりましたので、今回はこのへんで!