はかりごとの 白さん
雨が止んだ後の、湿った道を歩いていると、
どこからか、ピンと張りつめた空気が漂ってきました。
目を向けると、そこにいたのは
真白な毛に、ちょこんと模様がのった猫さん。
その名前は、勝手に「白さん」と呼ばせて貰うことにしました。
白さんは、真直ぐな目でこちらを見ていて、
その表情は、なんともいえず「ものしり」な感じ。
たとえば、町の水道メーターの読みかたとか、
隣の家の電気代の変化とか、
人の通り道のクセとか。
まるで、なんでも知ってそうな顔で、
そこに座っていました。
近づいても、逃げる訳でもなく、
かといって、懐くそぶりも見せず。
だけどその「どっしりした佇まい」に、
なんだか、町の歴史そのものを感じてしまいました。
きっと白さんは、
この場所でずっと、いろんな季節を見てきたんだろうな。
ふと、私の足音に耳を動かした後、
白さんはゆっくりと立ち上がり、
何も言わずに、屋根の下へと姿を消して行きました。
まるで、
「今日のパトロールはおしまい」と言わんばかりに。
次にまた、ここを通ったら
白さんは 今度、何を教えてくれるでしょうか。
静かだけど、何かを語る眼差し。
それはきっと、今日も町に、ひとつ安心をくれています。
