朝から両親が来てくれた。
ろくにご飯も食べられなくなった私のために、お弁当を作って。
もうそれだけで泣けてくる。

まずは県税事務所へ。
今後、Kが乗っていってしまった車が見つからなかった場合、自動車税は
私が払い続けなければいけないのか。それと、軽自動車の方は今現在、
どういう状況になっているのか、もしも私名義のままだとしたら、こっちも
このままだと毎年手元にない車の税金を払うはめになってしまうのか、
そういうことを相談するため。

まず、軽の方については、市役所で相談するよう言われた。
そして問題はもう1台の方。
警察に盗難届を出してそれが受理されれば、自動車税の請求はされないと。
ただし、身内のことなので、盗難届は難しいかも。
とりあえずの処置として、納税証明書の発行ができないようにしてもらった。
来年4月が車検で、納税証明書がないと車検を受けられないから。
で、もしKか代理の人が納税証明書を取りに行ったら、名義人から発行を
止められていると言ってくれるらしい。
ただ、それも3月末までしか効力がないし、それでおとなしく車を返しに
来るかは疑問だけど、何もしないよりはいい。

次は市役所へ。
軽自動車は廃車になっているらしい。一体誰がその手続きをしたんだろう。
私名義なのに第三者が勝手にそんなことできちゃうのかな。
車関係のことってよくわからないから、T自動車に相談してみようか…。

そしてまた警察へ。
盗難届を出せないか相談してみたものの、やっぱりダメだと。また明日、
県税事務所にTELしてみよう。
あと、昨日来たあやしい電報。今後は受け取り拒否すればいいとのこと。


ガス代、水道代、自動車税、家賃の支払い。
銀行にいくためにバスで行き、帰りのバスが来るまで2時間近くあったので
仕方なくタクシーを呼んだ。車ならすぐ近くなのに…。ただでさえ出費が
かさんでるのに、こんなことにお金使わなきゃいけないなんてムカつく。

ガス代を支払ったので開栓してもらったら、開栓しに来た人に玄関先で
大きな声で「ちゃんと支払ってくださいよ」と言われ、情けなくて泣きそうに
なった。

明日やること。
・県税事務所へ相談(盗難届が出せないので)
・軽自動車の方の任意保険の会社にTEL(知らないうちに廃車されてたので)
・N(普通自動車を買ったところ)にローンの残債を確認
・夕方、法テラスへ行く



夫が失踪する前は、日記を書く習慣がなかったので、できるだけ思い出してみる。

あの日は、朝いつも通りに出勤した。いつも通りというのは8時から8時半ごろ。
そして、一旦お昼過ぎに帰宅した。夫の仕事は運送関係なんだけど、客先で
荷下ろしの車が集中してて順番待ちをしている間にちょっと帰宅ということが
たまにあった。その客先が自宅のすぐ近くということもあって、私はそれを
信用していた。

で、帰宅した夫は、スーパーに買い物に行こうと言ったので、近所のスーパーへ
行った。
買い物を済ませ帰宅したあと、夫は再び仕事に行った。

ところが、14時半ごろ電話がかかってきて、
さっきスーパーでお金を落とした、あれは会社から預かってるお金だから、
今日の夕方返さなきゃいけない、だから1万円貸してくれないかといわれた。
その時の私は、全くお金を持っていなかった訳じゃないけど、それまでに
散々お金のことでは揉めていたので、貸せるお金は持っていないと答えた。
これは後にわかったことだけど、このときの1万円というのは、ガス代だった
んじゃないかと思う。

そしてその日は、夕方早めの時間に帰宅し、このあと7時過ぎごろにまた
仕事に行かなきゃいけないと言った。

その日の夕食は夫が作ると言って、ホットプレートで焼きうどんを作ってくれた。
夕食を済ませ、夫はまた仕事に行き、確か10時頃に帰宅した。

そしてお風呂に入ろうとしたところ、シャワーからお湯が出ないことが発覚。
明日、修理に来てもらおうと言い、そのまま寝ることにした。

私たちは普段、別々の寝室で寝ていた。一緒に寝たいときには誘うという感じ。
その日、夫は「一緒に寝る?」と聞いてきたが、明日も早起きする予定だったので、
早朝からごそごそしたら申し訳ないなと思ったし、お風呂に入ってない体で
同じベッドに寝ることに抵抗があったので、いつも通り別々に寝た。
もちろんいつものように、おやすみのキスをして。



これが、今私が思い出せる、失踪前日の出来事だ。
お風呂のお湯が出なかったことで、ガスが止まったことをわかっていた
んだろうか。それとも、その日の夕食をホットプレートで作ったということは、
もっと早い段階で気づいていたのか。
あのとき、もしも一緒に寝ていたら、事態は変わっていたんだろうか。
一体いつ、逃げることを決めたのか?
ガスが止められたから?
それとも、夜中に何かがあった?

彼と私が出会ったのは、今から4年ぐらい前だろうか。

あの頃の私は小さな派遣会社で働いていた。
派遣会社と言っても、日雇い派遣が中心の、「人工(にんく)出し」とも
言われるような会社である。(人夫(にんぷ)出しとも言うらしい)
私はその会社で事務仕事をしており、彼は派遣社員だった。
自営業者である彼は、あまり仕事がない時期だけのバイトを探していて、
うちのような日雇い仕事はうってつけだったらしい。

私の彼に対する第一印象は、割とよかったと思う。
実際彼は、きちんと仕事ができるし、取引先からも高評価だった。

ある時、彼に飲みに行こうと誘われた。
当時、彼氏もいなかったし、まぁこの人とならいいかなと思ったのだ。
その日は深夜まで飲んだけれど、そういう雰囲気にもならず、そのまま
別れた。

その後、何らかのアプローチがあるかも?と思っていたけど、何もなく、
数ヵ月の間、音信不通となってしまった。

でも、そういうことはよくあった。
そりゃあそうだ。彼にとって、うちの会社での仕事はあくまでバイト。
連絡がとれないということは、本業が忙しいということなんだから、
彼にとってはその方がいいのだ。
ただ、正直言って、少し寂しい気持ちになった。


それから数ヵ月後、また彼は本業が暇になったようで、ちょくちょくバイトに
来るようになった。



そして、また飲みに誘われ、その夜、付き合ってほしいと言われた。