フランスでは小・中学校で習うので、21世紀の今も子供から大人まで知らない人はいない古典として愛されています。
日本では原典のイソップ童話の方がよく知られていて『寓話』の中にも似たお話が度々登場しますが、フランスでは原典よりも『寓話』の方が有名です。
ヴィンテージ絵本:ラ・フォンテーヌ寓話「オオカミと子羊」 /1953年 発行
「粉屋と息子とろば」/ le meunier, son fils et l'ane
「羊飼いになったオオカミ」/ le loup devenu berger
「狐と鶏」/ le coq et le renard
「オオカミと子羊」/ le loup et l'agneau
とそれぞれ教訓を含んだお話が四話が入っています。
見開きは木の葉模様。
オオカミと子羊:3~10p
表題作「オオカミと子羊」は「強者の理屈が(たとえ正しくなくても)常に通ってしまう」という人生の教訓を教えるお話で、作者ラ・フォンテーヌが時の絶対君主、ルイ14世の専制をエレガントに批判したのだと言われています。
こんなところにもフランス人の皮肉好きが垣間見えますね。
La raison du plus fort est toujours la meilleure :
Nous l’allons montrer tout à l’heure.
Un Agnau se désaltérait
Dans le courant d’une onde pure.
Un Loup survient à jeun qui cherchait aventure,
Et que la faim en ces lieux attirait.
《 Qui te rend si hardi de troubler mon breuvage ?
Dit cet animal plein de rage :
Tu seras châtié de ta témérité.
―Sire, répond l’Agneau, que votre Majesté
Ne se mettre pas en colère ;
Mais plutot qu’elle consider
Que je me vas désaltérant
Dans le courant,
Plus de ving pas au-dessous d’Elle,
Et que par consequent, en aucune façon,
Je ne puis troubler sa boisson,
―Tu la troubles, reptit cettte bête cruelle,
Et je sais que de moi tu médis l’an passé.
―Comment l’aurais-je fait si je n’étais pas né ?
Reprit l’Agneau, je tette encore ma mère.
―Si ce n’est toi, c’est donc ton frère.
―Je n’en ai point. ―C’est donc qulqu’un des tiens :
Car vous ne m’épargnez guère,
On me l’a dit : il faut que je me venge. 》
La-dessus, au fond des forêts
Le Loup l’emporte, et puis le mange,
Sans autre forme de procès.
強者の理屈は常に正しい。
それはじきに明らかになるだろう。
1頭の子羊が、澄んだ流れのなかで渇きをいやしていた。
そこへすきっぱらの狼が何かいい獲物はないかと、空腹に誘われて現れた。
「おれの水を濁らせるなんて、どうしてそんな厚かましいことができるんだ?」
狼は激怒して言った。
「おまえのような無謀なやつは、懲らしめるしかない。」
子羊は答えた。
「おおかみ様、怒らないでください。
私は川に、ただのどの渇きを癒しに来ただけです。
それにわたしはあなたから20歩以上も川下ですから、
あなたの水を汚すわけがありません。」
「おまえはおれの水を汚した。」残忍なこの獣は繰り返した。
「それに1年前、おまえがおれの悪口を言ったのを知っているんだぞ。」
「1年前に私は生まれてもいないのに、どうしてそんなことができましょう?」
子羊は続けた。
「それに私はまだ、母さんの乳を飲んでいるんです。」
「もしもおまえでなかったら、おまえの兄弟にちがいない。」
「私には全くわかりません。」
「だから、おまえのところの誰かだろう、
おまえたちはおれのことを少しも容赦しないんだからな。 仕返しをしなきゃならないって言われたことがある。」
そのあと狼は、森の奥まで子羊を連れて行き、 有無を言わせず喰ってしまった。
この「強者の前ではどんなむちゃくちゃなことを言われても最後はあきらめるしかない」というオチは子どもには難しい気もしてしまうんですが(というか理不尽!!)こうした寓話を幼少時から教えられて育つからこそフランス人のシニカルな国民性が育つのかもしれません。。。
「鶏と狐」:11~14p
「羊飼いになったオオカミ」:15~19p
「粉屋と息子とろば」:20~28p
今回ご紹介した本は1953年発行、パリで印刷されたもの。
表紙、裏表紙に多少折れ目や傷跡はありますが、ページに破れはなくシミもほとんどありません。
鮮やかな色の挿絵が美しいのでフランス語のわからない方にも楽しんでいただけますし、フランス語をお勉強している方には4つの短いお話がラ・フォンテーヌの美しいフランス語で入っているのでいい教材になりそうです。
「オオカミと子羊」以外の3つのお話もそれぞれに面白い寓意があり興味深く読んでいただけると思います。
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