ウルルとカタ・ジュタ

2001年のウルル滞在最後の夜、ワシは毎度そうそうするように、ウルルの周回路を車で一周した。「また、来ることができますように」と。周回路の途上にウルルとカタ・ジュタを同時に視野に捉えることのできる場所がある。背の高いランドクルーザーの屋根に登ると(レンタカー会社には内緒だが)、一日のわずかな残滓に遠く浮 かぶカタ・ジュタをきれいに見渡すことができた。説明するまでもなく、左手はウルルである。今回のウルルにおける撮影行は天候にあまり恵まれなかった。あまりにも快晴過ぎたのである。雲がないと空の部分がのっぺりとしてメリハリのない写真になってしまう。惜しむらく は、ワシの到着する直前に大雨が降ったこと。もう少し早く来ていれば...。普段とは違うウルル/カタ・ジュタの姿を捉えられたかもしれない。しかし、こればかりは天を恨んでも仕方ない。次の機会を楽しみにしよう。そんなワシを同情したのか、天は旅の終わりに、束の間、ウルル/カタ・ジュタの 共演を見せてくれた。

Nikon F5A with MF-28,
Ai AF Zoom Nikkor 28-85mm F3.5-F4.5S,
Fujichrome PROVIA 100F (RDP III)
Aperture-Priority Auto @ F8
Circle Road around Uluru, Uluru/Kata Tjuta NP, Northern Territory
October, 2001

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カタ・ジュタ

カ タ・ジュタは36の巨岩の集合体である。最高峰のオルガ山は地表から546m(海抜1069m)あり、同348mのウルル(エアーズロック)よりも遙かに 高い。巨岩群が広がる面積も、地図を目測するとウルルの4倍はありそうだ。ウルル同様にカタ・ジュタもアボリジニの聖地であり、東側(写真の裏側)に旅行者は立ち入るこ とができない。我々が目にできるのは、西側の二つの遊歩道沿いの景色のみである。カタ・ジュタのすぐ南側の麓を通り、エアーズロック・リゾート方面へ抜け るダートロードがある。現在一般に開放されているルートよりずっと岩塊の近くを通るので、迫力は大いに期待できる。しかし、そのルートの入り口には鍵がかけられ、一般人 立入禁止である。天を突く巨岩をもっと近くで見てみたい。残念ながら今のところその思いはかなわぬままだ。


Nikon F4,
Ai AF Zoom Nikkor 28-85mm F3.5-4.5S,
Fujichrome PROVIA 100F (RDP III)
Aperture-Priority Auto @ F11
Kata Tjuta Sunset View Point, Uluru/Kata Tjuta NP, Northern Territory

October, 2001

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雄大

カ タ・ジュタ(マウント・オルガ)はウルルと異なり一枚岩ではない。36の巨岩の集合体である。その一つを遠望する。数あるオーストラリアの風景の中でも、 雄大さにおいては屈指の眺めである。麓に広がる木々と、一気に立ち上がるドームの対比で、岩の大きさをご理解いただけよう。これまで同じ場所で三度撮影を 行っている。しかし、未だに満足できる写真をものにできない。この写真も少しブレている。写真とは、シャッターを切る以前にどれだけの情熱と労力を費やし ているかが結果に如実に現れる。最適な季節にその地を訪れ、撮影場所を吟味する。太陽の動きを読み、最適な光線状態を選ぶ。表現意図に合ったアングルとレ ンズを選択する。ピントを厳密に合わせるのは勿論、カメラを三脚に据え、ブレを防止するためケーブル・レリーズを用意する。細心の注意を払うならミラー アップして更にブレを極小化する。ざっと列挙するだけでもこれだけの作業が生じる。しかしである、気温40度を超える環境下では、人間の頭は正常に動作しない。何か を忘れるのである。この時もケーブル・レリーズを忘れた。機材に耐久性を求める前に、人間 が耐久力を持たねば、アウトバックで完全な作品は残せない。

Nikon F4,
Ai AF Nikkor ED 180mm F2.8S (IF)
with Ai TC-201 Teleconverter
Fujichrome PROVIA ISO 100 (RDP II)
Aperture-Priority Auto @ F2.8 (Composed Aperture F5.6)
Kata Tjuta Viewing Area, Uluru/Kata Tjuta NP, Northern Territory
January, 1996


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野火-1

この日はツキが無かった。テナント・クリークへの道中、ダリー・ウォーターのパブで長居し過ぎて先を急ぐ最中、右後輪がバースト。炎天下、四駆用の重いタイヤを交換するのは並大抵のことではなかった。交換を終えた時点で既にその日の体力を全て消費してしまった感じである。気を取り戻して再び南下を始めると、写真のように煙が高々と立ち上る様子が見えてきた。


野火-2

かなり遠くから見え始めたので、相当大規模に何かが燃えていると察せられる。時あたかも、アメリカでのテロ事件直後、ワシは「すわ、飛行機の墜落か!?」と不安な気持ちに駆られた。


野火-3

かなりの距離を走り、ようやく現場へとたどり着く。広大な範囲の大地が黒こげになっている。たとえジャンボが墜落してもこんなに広い範囲が燃えることはあるまい。オーストラリア名物ブッシュ・ファイアである。

野火-4

アウトバックを走ると道端が燃えている ことは日常茶飯事であるが、これは今まで見た中でも相当大きい部類に入る。ワシが通りかかった時点でも火は各所でくすぶり、窓を閉めなければ煙と熱気で具合が悪くなるほどだった。空には、隠れ場を焼かれた小動物などを狙って、多くの猛禽類が旋回している。自分が望まなくとも次々と予想もしないイベントが起きる。結局この日はテナント・クリークへは到着できず、小さなロードハウスのキャンプ場に泊まった。まあ、これも一興、荒野の旅に退屈はない。

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ダストストーム1

オーストラリアでは砂嵐のことを「ダストストーム」と呼びます。写真のように舞い上げられた砂の塊が迫ってきます。アウトバックのような視界が開けたところでは、遥か彼方より迫ってくるのを見渡せます。その土地の砂の色により赤かったり、白かったり。巻き込まれると視界はほとんど効かなくなります。

今回、ブロークンヒル(NSW州)で撮影されたダストストームの映像を見つけました。これまで2度、ダストストームに巻き込まれたことがありますが、こんな凄いのは初めて見ました。赤い巻き上げられた砂がまるでエアーズロックのように見えます。

下のリンクからご覧ください(YouTube)。

http://jp.youtube.com/watch?v=95tmYmeHf84

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獅子座流星群(その3)-Leonids Meteors

これまで、獅子座流星群には、今年は大 出現か!というニュースに踊らされては裏切られ続けてきた。だから、今回も大きな期待はしていなかったというのが正直なところである。その割にはアデ レードからわざわざクーパー・ピディまで出かけるのだからワシも酔狂である。予想に反して(?)、往復約2,000キロの流星見物はお釣りが来て余りあるもの となった。期待を遙かに超える大出現だ。夜明けまでの約2時間半、これまでの生涯で最高の天文ショーに酔いしれた。星がこぼれるという表現があるが、今回は星のバケツがひっくり返った程の出来事と言える。帰途ロードハウスで目にした新聞が洒落た言い回しで昨夜 の一大ページェントを締めくくっていた。曰く「Light showers, but the outlook was fine(天気予報は晴れだったが、光の雨が降った)」。
(終わり)

Nikon F4 with MF-23,
Ai AF-S Zoom Nikkor ED 17-35mm F2.8D (IF),
Fujichrome PROVIA 400F (RHP III)
Time Moode (approx. 5 minutes) @ F2.8
Stuart Hwy., Coober Pedy, South Australia
November, 2001

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獅子座流星群(その2)-Leonids Meteors

この夜、幾つの歓声と溜息が世界中でこ ぼれただろう。それはこの夜流れた星屑の数にも匹敵するかもしれない。右を向いても左を向いても、更には後ろにも星が流れている。その光芒を見るたびに 「あっ」、「おっ」と声が漏れる。何度も何度も歓声を上げるワシの姿を誰かが見ていたらさぞ滑稽に写ったことだろう。と にかく獅子座を中心に絶え間なく流星が放たれるのだ。
今宵なら、その気になれば星に願いを三度称えることも不可能ではない。ここは南オーストラリア、クー バーピディ、名産のオパール以上の輝きが幾筋も夜空に尾を引いた。帰国後、出来上がったポジを見ながら知人たちと語った、「もし20mm F1.8や28mm F1.4の大口径レンズを持ってたら、もっとすごい写真が撮れたかも」と。しかし、そう言いながらもワシは本気で後悔はしていない。何故なら、恐らく"次回 "は我々の生涯の内には無く、そのただ一度のチャンスの目撃者になれたことを心の底から喜んでいるからだ。これはワシにとって一生の宝。2001年11月19日、オパー ルよりもきらめくような思い出の鉱脈をワシは中央オーストラリアの砂漠で見つけた。
(つづく)

Nikon F4 with MF-23,
Ai AF-S Zoom Nikkor ED 17-35mm F2.8D (IF),
Fujichrome PROVIA 400F (RHP III)
Time Moode (approx. 5 minutes) @ F2.8
Stuart Hwy., Coober Pedy, South Australia
November, 2001

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少し古くなりますが、10月1日に下記のニュースが報じられました。
オーストラリア北部、ケープヨーク半島で、観光客が巨大クロコダイルにさらわれるという事故が起きました。

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【ブリスベン1日AAP】ケアンズ北部クックタウン近くにあるエンデバー川エスケープ・キャンプ場に妻と一緒にキャンプに来ていたアー サー・ブッカーさん(62)が、カニ取り網を見に行ったきり行方がわからなくなっているが、現場にワニの足跡が残されていたことから、ワニにさらわれたも のとみられている。

 ブッカーさんの妻のドリスさんは現在、病院で鎮静剤を継続的に服用しており、精神的ショックが大きいことからメディアに対し話ができる状態ではな いが、ブッカーさんの義兄弟のマイク・ワトソンさんはレポーターに対し、家族は今もブッカーさんが元気な姿で戻ってくるよう奇跡が起こることを願っている と話した。

 現在までに発見されているブッカーさんの所持品はサンダル、腕時計、川岸に残されていたカメラなど。警察は、2日も引き続きブッカーさんの捜索を行う。

 エンデバー川エスケープ・キャンプ場のテリー・レイヤー氏は30日夜、チャーリーという名前の全長6メートルのワニがブッカーさんをさらっていっ たものとみているとしたが、QLD州公園と野生動物サービスのジェームス・ニューマン地域部長は1日、ABCラジオ局に対し、他にも2匹の大型ワニが現場 周辺で確認されており、捜索隊員たちも注意を払いながら作業を行っているとした。


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クックタウンにはワシも行ったことがあります。キャプテンクックが船の修理のために上陸したことで知られる街です。ケアンズの北、熱帯地域に位置し、エンデバー川の岸辺はマングローブに覆われています。記事には6メートルクラスのクロコダイルと記されていますが、まさかそんな大物がエンデバー川に生息しているとは知りました。恐らく、現在見ることができる最大クラスのクロコダイルでしょう。

カカドゥなどオーストラリア北部に行くと、水辺のいたるところに「クロコダイルに注意」の看板が立っています。しかし、旅を重ねていくと、「慢心」が生まれることも事実です。この報に触れて、自分も気を引き締めなければと思いました。

行方不明の方の無事をお祈り致します。

 



獅子座流星群(その1)

2001年の旅、ウナダッタ・トラック600キロのダー トを抜け、道が舗装路に変わるとアデレードはもう射程距離だ。アウトバックともこれでお別れと思った時点でワシの魂は燃え尽きた。「全てを見てやる」、「何 も逃すまい」という、約40日間ずっと保ち続けた写真への緊張感は失われ、ワシは腑抜けになった。魂も金もなく、アデレードでの予備日を漫然と過ごしてい たある朝、新聞の大きな記事が目に入った。2ページを割いた紙面には流星群の接近が報じられていた。「一生涯のチャンス」、「次は30年後」、「オース トラリアは観測に絶好の位置」等々刺激的な言葉が並ぶ。はじめ"Leonids"という言葉の意味がわからず、???そうか!獅子座流星群のことだ!。日本でも寒くなり始める頃にやってくるあの流星群である。盛大な予報が報じられても、本当に大流星群が出現するのか保証はない。これまで何度も肩すかしを食らった経験もある。それでもワシの心は 躍った。「日本の仇をオーストラリアでとるか!」、「仮に見られなくても、ここでぐうたらしているより遙かにまし だ!」。決めてからの動きは速かった。北へ行くほど条件はいいという。流星群最接近の日程を考えると、約1,000キロ先まで北上できる。しかも、砂漠地帯なら空気が澄ん で晴天率も高い。観測には絶好のロケーションだ。
かくして2001年11月19日未明、ワシはクーパー・ピディ近郊で壮大な天文ショーの始まりを迎えた。
(つづく)

Nikon F4 with MF-23,
Ai AF-S Zoom Nikkor ED 17-35mm F2.8D (IF),
Fujichrome PROVIA 400F (RHP III)
Time Moode (approx. 5 minutes) @ F2.8
Stuart Hwy., Coober Pedy, South Australia
November, 2001

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浮き雲

「オーストラリアの空は大きい」、多く の旅人が同じ印象を語る。それもそのはず、建物はもちろん、木や山もない大荒野では地平から一気に空が立ち上がり、天を覆う。そんなオーストラリアでもこの日の空は 格別に大きかった。接近中のサイクロンから沸いてくる雲が丁度いい具合に散りばめられて、何もない真っ青な空よりも、遥かに広がりを感じさせてくれ るのだ。雨雲が時折道路を横切る。遠く遠く視界が開ける中、雨の降っている部分を遠望できるので、 ここから先は雨になると予見ができる。雨と晴れの境目を目視できるなんて、これまでにない体験である。浮き雲と真っ直ぐに伸びた道、大空と大地の中を白いキャンパーは一路インド 洋を目指した。

Nikon F4 with MF-23,
Ai AF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-F4.5D (IF),
Fujichrome PROVIA ISO 100 (RDP II)
Aperture-Priority Auto @ F5.6
On the way to Port Headland, Great Northern HWY, Western Australia
April, 2000

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