20/nov/2001
お腹の中から出てきたときの羊水に混じった血のようにベタベタしている
ああ 生まれるということは知覚すること
知覚は 雑念 邪念
どうして何も考えないで上に上っていくことのできた魂が
引きずりおろされるんだろう
人格は重いから 思考は思いから.....
そんなことを考えながら私は、一身に真っ赤なスポットライトを浴びている。
人びとの歓声が聞こえる。
動けない体のままステージの床にへばりついて、首だけ180度回してみる。
私の背中の真上、ステージの天井に大きな黒い顔が、
くわって大きな目をあけて私を見つめている。
鼻も口もない黒い顔。岩みたいな凹凸が怖くて、穴ぼこだらけの顔。
まるでヘドロのこびりついたような髪の毛が、長く長く私を触る。
やはり首を回転させなければ良かった。
そうすれば、例えこの恐ろしい顔がここに存在しようと私は、気づかずにすんだのだから.....
辺りの喝采は消え、たまにこほこほと親父の乾いた咳、座り直すときの関節の音が客席から聞こえる。怖い顔の首がふらふらゆれ続け、それをずっと眺めているうちに、もはや首は動いていなかった。わたしだって、地面にへばりついてなんかいないんだ。首はただの舞台セットで、ふらふらゆれているのは、私。
私は、自由だ。