勝間塾の来月の月例会のテーマが「英語」ということもあり、現在、英語教育に関する本を読み進めています。


今日は、私が尊敬する白石恭弘先生の以下の本を読んでみました。

外国語学習に成功する人、しない人―第二言語習得論への招待 (岩波科学ライブラリー)/岩波書店
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これからの英語教育をどのように進めていけばいいのかについて、多くのヒントを得ることができました。白井先生の著書はどれもわかりやすくて、一般の人でも十分楽しんでいただける内容です。

この本の中で特に心に深く残った内容は、以下のものです。


★日本人はなぜ英語が下手なのか ー 母語の影響


言語転移


    →英語を読んで訳すという「文法訳読方式」中心で教えると転移が起こりやすく、一方、学習者の母語を使わず、英語によるコミュニケーションを通して教えると転移が起こりにくい。


     日本の英語教育は、特に高校において未だに従来の「文法訳読方式」が主流になっています。


 なぜ「文法訳読方式」が好ましくないのか?


 「負」の言語転移が起こりやすい環境を、教師が作り出していることになるからだと、これからは自信を持って説明できます。


★外国語が身につくとはどういうことか


インプット+「アウトプットの必要性」が習得のカギ


→赤ん坊がある日突然話すようになるまでには、多くのインプットを得ているばかりではなく、その間に、おそらく頭の中で話すことを考えていると思われます。つまり、発話をする前に「リハーサル」をしているのです。


 英語教育において、私たち教師は、インプットを与えたらすぐにアウトプットを強いる教育をしがちですが、学習者はその時点ではまだ用意ができていないために、アウトプットを求められても自信を持って発話できないのです。


 高校教育では、インプットを与えるだけでアウトプットする機会すら提供していないのです。つまり、このような状況におかれた学習者は、インプットを理解する必要があっても、話す必要がないため、発話の練習を頭の中でしていないのです。その結果、発話能力が発達しないのだと考えられます。


 学習者が英語で発話できるようになるためには、「リハーサル」できる活動を意識的に提供すること(つまり、スピーキング練習を積極的に取り入れること)が大切であることを再認識することができました。


★どんな学習法なら効果があるのか


•言語学と心理学による学習理論


「言語の形式に焦点をあてるのではなく、言語の意味、すなわち、言語を使ってメッセージを伝える」ことに重点を置くこと


私の場合、単文中で言語を覚えるよりも、文脈の中で言語を使う時に、実用的でしかも楽しいため、非常に効果的だと実感しています。



効果的な文法教育とは


まず、どのようか文法項目を教えたら効果的で、どのような項目は教えてもあまり効果がないのかを、教師が研究を進めることが大切である


多くの高校教師は、相変わらずすべての文法項目を教えることが必要であるとの呪縛にとらわれていますが、白井先生は、文法教育は基本的なもの(中学~高校1年程度のもの)に絞る、というのが現実的な選択であると指摘してます。


実用的でない文法教育に費やしてきた多くの無駄な時間を、もっと英文を読んだり聞いたり、スピーキングできる時間として活用できるよう改善していくことにします。


来年度の英語教育へ向けて、同僚たちにもこのことを理解してもらえるよう、今から研究を深めていくことにします。


しばらく本業の英語教育の研究を避けてきましたが、来月の月例会をきっかけに、2013年は、本気で英語教育教授法をブラッシュアップすることにします!