いやいやいや本当に、嬉しいなと思いますけれども。オードリーというものでございますけどもね。若林、春日でね、やっておりますけれども、今日も頑張って、えー、漫才やっていきたいなと・・・。
みなさん、本物の春日ですよ。ちょっと厚めの胸板枕が必要な方はどなたですか?(一際胸を張り、片手で胸をたたく)
えー、僕たちお陰様でこうしてね、皆さんの前で漫才やらせて頂ける機会も増えたわけなんですけどもね。
それはこっちの台詞だよ!で、あのぉ・・・本当にファンの皆さんのお陰なんですよね。僕ら数年前まで、自分達のトークライブをする会場を借りるお金もなくてですね。皆さんもね、若手のお笑いのライブとかね、最近は行かれる方も多いと思うんですけども・・・。
こいつら、お笑いのトークライブなんかに興味あるわけないだろ。
じゃぁ、なんでこんなところでみんな並んで座って舞台見てんだよ!皆さん、今日の舞台を楽しみに来てくださってるんだから謝りなさいよ。失礼だから。
あのぉ、謝ったら許して欲しいんですけれども。で、まぁ・・・。
で、まぁ、芸人っていうのはですね、やっぱり人前で話さないといくら稽古やってもトークはうまくなりませんから。なんとか自分達のトークライブやりたいなって悩んで、事務所にも相談したんですけど、まぁ、当時のオードリーには事務所もお金出せないって言われちゃいまして。悩んだ挙句、相方の春日にも相談したんですけれどもね・・・。
どう考えても一番お金なさそうだったじゃねーか。まぁ、今もそうだけど。で、ですね、春日に相談したら、こいつの倹約精神はすごいんですよね、それで即答でですね・・・
貧乏だと!こんな、ベストまでピンク色になるほど血行が良いのに、貧しく見えるのか?!
ベストは関係ないだろ、ベストは。それにまぁ、貧乏そうには見えないよ。胸板厚いし。
何の話したか忘れちゃっただろ!で、まぁ、ライブ会場なんですけどね、春日が自分のアパートでやったらいいっていう話になってですね。
マイ・スイート・ホームへようこそ。(片手にワイングラス、もう片手でチーズをつまんだパントマイムをしながら)この春日邸をたっぷり堪能してくれたまえ。
って言っても、こいつの家、風呂なしの築60年は経ってるようなオンボロアパートでですね。6畳の和室に買ってきた座布団をうまく敷いて、なんとか10人分の客席をつくったっていう・・・。
オンボロアパートとはなんだ!今、春日邸は数多くの番組のロケ先になってる人気スポットじゃないか。(フジならお台場、TBSならアカサカサカス、テレ朝なら六本木ヒルズ)みたいなもんだろ。
いや、悪い、そこまで言うほどオンボロじゃねーよ。あそこじゃなかったら、トークライブもできなかったし。お前んち案外居心地良いし、俺は正直結構好きだから。
(一緒に笑顔で) へへへへへ・・・・ (若林がハイタッチを求めて、春日がハイタッチする)
で、あのぉ・・・、すべての壁がうっすい、うっすいアパートでしたから、トークも小声でやりますっていうふれこみでですね、お客さんを募集しまして、名前も「小声トーク」っていうですね、えー、名前に決めまして、これを毎月1回、1年間続けようっていうことになったんですけどもね。自宅でやるからっていうんで、逆に本当のライブ会場でやるみたいに本格的にやろうっていうことに決めましてね・・・。
さては、トーク力だけで笑わせようっていう魂胆だな。ふっふっふ。だが、果たしてお前にできるのか?
(春日のボケをスルー)あのとき二人でそう言ってトンガってですね、6畳の和室で客席とステージをちゃんと分けてやることにしたんですけど、当日来てくれたお客さんが7人。
なんでそこだけいきなり素直になってんだよ。で、まぁ、初回は皆さんと駅で集合ということでですね、春日が駅まで迎えに行ったんですけれども・・・。
それが正解だよ、若林くん。君が迎えに行っても、春日のような華がないからお客さんに見つけてもらえなかったかもしれないからな。わっはっは。だから、若林くんはアパートでチケットもぎりやって、春日が駅前で、トゥースって言えば・・・(アメフトのハドルのように)。
うるせー、当時はお前も大して変わらなかっただろ。一応こういう「小声トーク」って書いてある旗を持っていったじゃねえか。まぁ、僕はチケットもぎりやってましたけどね。えー、それで春日のアパートで初めてのトークライブやったんですけれども・・・。
なんで自分たちのトークライブの名前にカンペがいるんだよ。っていうか、そんなのどうでもいいじゃねーか。
何、貴様、私達のトークライブの名前なんてどうでも良いと言うのか?
そうじゃねーよ。でも、そんなに大事だと思ってるなら、「小声トーク」って名前くらいちゃんと覚えろよ、バカヤロウ。まぁ、それで「小声トーク」の最初のライブなんですけれどもね。自宅でやるけど、絶対に馴れ合いにならないようにっていうことで、ですね、普通のライブ会場よりもきっちり真剣にやったらですね、来てくれたお客さんたちは、たぶん、思ってたのと違ったんでしょうね
春日の自宅っていうホームなのに、始まったら急にめちゃめちゃアウェーな空気になったな。爆笑。
胸張って言うことじゃねーよ。まぁ、それでですね、なんとか立て直して無事に終わったわけなんですけれども。ライブ中に春日がお茶をですね、この日のために用意してお客さんと僕の分もあわせて入れてくれたんですけれども。最後にアンケートをやったら、ダメ出しの回答欄にみんなから「お茶が濃すぎた」って書かれてまして・・・。
じゃぁ、何かい、君はお茶を入れたことがあるっていうんじゃないだろうね。
あるだろ、普通、お茶くらい。日本人でお茶入れたことない奴なんかいねぇよ。皆さんだってお茶いれますよね。
あるに決まってんだろ!皆さん、毎日、美味しいお茶入れてますよ、謝りなさいよ。失礼だから。
あのぉ、謝ったら許して欲しいんですけれども。で、まぁ・・・。
指をさすな。お客さんに指差したら失礼でしょ、水しかって何だ、水しかって。それはお前のことじゃねーか。水道数に飴玉溶かした自家製ジュースとか、日本中でお前しかいないわ、そんなもん飲んでるの。
えー、まぁ、そんなこんなで、ですね、1年間、毎月1回のライブを春日のアパートでやってたわけですれども・・・。
(春日のボケをスルーして)で、いよいよ最終回を迎える頃には観覧希望の応募も一番多く届きまして、ちゃんと抽選をしてですね。本当にありがたいと思うんですけど。えー、そのお礼の気持ちもこめまして、事務所からちょっとした照明機材とですね、大きなスピーカーとか借りまして、最終回らしい演出をさせて頂きまして・・・。
そうそう、この曲ね。最後に小田和正さんのお別れの曲をBGMに流してトークしてたら、泣き出すお客さんとかもいまして、6畳の狭い普通の部屋で目の前にいるのに「やめないでー」って叫んでくれる方とかもいてですね、もう、本当に感動的なエンディングっていう・・・
そう、ちょうど今のタイミングでだよ、ライブの最後はブレーカーが落ちて停電になったんですよ、皆さん。これはもうものすごいタイミング。神の演出。さすが春日邸だな。
演出なわけないだろ。照明とスピーカー持ち込んだもんだから、電気使いすぎただけじゃねーか。
それはさっきお前が言ってたやつだろ。自分で爆笑してたじゃねーか。
しかし、若林くんよ。この春日にとっては、君と立つ舞台はどこでもホームなのだよ。(若林の胸元を軽くはたく)
なんだよ、急に。それは俺も同じだよ。お前と一緒にずっと漫才やっていきたいと思ってるよ。(春日の胸元を軽くはたく)
これからも、どうぞよろしく!(若林の胸元を軽くはたく)
こちらこそ、初心を忘れずに頑張ろうな(春日の胸元を軽くはたく)
そっちこそだよ(若林の胸元を軽くはたく)
(一緒に笑顔で) へへへへへ・・・・ (若林がハイタッチを求めて、春日がスルーする)
どうもありがとうございました。