Googleも電子書籍に参入しました。
図書館のスキャンは結局、商用利用に結び付けられたわけで、今後のgoogleの立ち位置は厳しく見られることになるでしょう。
デバイスは問わない電子書籍としか発表されていませんが、XMLベースのアクセス限定のWebページみたいなものになるのではないでしょうか?もしくはスキャンから派生して画像系の提供かもしれません。
ビジネスモデル自体は目新しいことなく、デバイス依存なし、自社課金(囲い込み)、どこでも可読。夢のモデルです。ただ、このタイプのビジネスモデルの成功例は見たことがありません。
本格的な寡占状態になったときにデバイス側とコンテンツホルダー側のどちらが強いのか。オーディオブックにも通じる問題です。
最終的にはコンテンツホルダーが強いのですが、当面、電子書籍媒体ではまだデバイスおよびライフスタイルが確立していません。そのなかでデバイス側がgoogleを排除する仕様になればそれまでです。
しかもgoogleはコンテンツホルダーでもありません。(今、強引にコンテンツホルダーになろうとしていますが、最終的には出版業界を敵に回すようなやり方では厳しいでしょう)。
そうなると販売店としての立ち位置となりますが、強力な販売店となることができるかどうかが鍵になります。
家電量販店のようにリアルの物流でも、iTunes、AppStoreを例に見てもお店が強ければ無茶がまかり通るものです。
googleは強い販売店となれるのでしょうか?
「Googleビジネス崩壊のはじまり」として注目している自分としてははなはだ懐疑的です。
一番の根拠としては、googleは今までBtoC つまりはお客様への販売という商売をしたことがないことです。
ユーザーニーズに対応する。このことは何気に難しいことです。
googleは今まで、彼ら自身が作り出したテクノロジーまたは見出したテクノロジーを手当たり次第に出すことで、成長してきました。
そういった意味でも社内風土全体に消費者主義というものが芽生えることは考えにくく、そのような会社が書籍を売るというのは、書籍を作ったこともない、売ったこともない、お客と接したこともないと何もノウハウがないところからのスタートです。ないない尽くしです。
もし仮にうまくいったとしてもGoogleはこのビジネスにおいてはあくまでも出版業界に寄生することで収益を上げる会社であって、出版業界との関係を継続的に良好に保たなければいけない立場になりますが、今までの動きを見ているとそのような目線を持っていない会社だとみます。
そういった意味ではこれから立ち上がる電子書籍業界。
松下幸之助や中内功などに代表される消費者主義の概念が根強い日本企業にとって車や家電と同様に世界をリードできるジャンルになるかもしれません。
でも、デバイス含めてまだ何にも立ち上がっていないのが電子書籍業界なんですけどねえ。
期待先行型です。 Kindleも日本で替えるようになりましたが全然、日本の読書人のニーズにこたえられていません。まだまだです、逆に期待できます。自分たちにもチャンスのあるというのはモチベーションあがりますよね。
(ちょうど10月16日付け新文化紙面のコラムでKindleについて原稿書かせてもらったところです、興味のある方は読んでみてください)