近年のオーディオショウで思うことがあるので誤解を恐れずに書きます。
まず、最近のオーディオ全般の傾向ですが、端的に言って2極化かと思います。
安価で特性など優れた製品は中国などで大量に作られ、信じられないほど安価で販売しているので手軽に簡単にそこそこのサウンドでオーディオが楽しめる。
一方で、1000万越えは当たり前で1億越えのスピーカーが各社販売されるなど、誰が買うのか?買えるのか?というようなウルトラハイエンドオーディオが目立ってきています。
よって、本来の「オーディオ趣味」である価格帯の製品群たちが、メーカーとして本腰を入れて真剣に設計したり作っている感が少ないような気がしています。
先日の東京インターナショナルオーディオショウもさることながら、近年のあらゆる世界のハイエンドオーディオショウは数千万~億越えの製品が目立っていて、来場客数が前年比で増えたとか言われても、実際販売につながるのか??といった矛盾を感じます。
私は、オーディオももちろん拘っていますが、趣味として車もかなり拘っていまして、オーディオと車を照らし合わせて考えることが多いのです。
車もオーディオも共通点が沢山あるなとつくづく思います。
【車の場合】
スーパーカーは到底買えないので、国産のスポーツカーをチューニングして何とか納得いく走り、サーキットでのタイムを詰めていく経験は、オーディオも似ている。
【オーディオの場合】
ハイエンドオーディオは到底買えないので、予算に合ったスピーカーやアンプを色々比較試聴したり特性を勉強したりしてセレクトして、セッティングやインシュレーターやケーブルも色々研究してあっと驚くサウンドにしていく。
つくづく似てるなと思います。
国産のスポーツカーも買う前にどれにしようか色々試乗しました。
カッコも大事ですが、ハンドリングやアクセルレスポンスも大事。
乗ってる感、操ってる感が非常に大事。
これは、オーディオも同じで色々試聴しますよね!
色んな組み合わせでどのように鳴らすのか?とっても楽しいです!
一方で、スーパーカー=ウルトラハイエンドオーディオはどうでしょう?
【車の場合】
昔コーンズに行って、フェラーリに試乗したいと思ったことがあり、門前払いを食らったことがありました。笑
その時に言われた言葉が、「最初にハンドルを握るフェラーリはお客様ご自身のフェラーリであって欲しいので試乗車という考えはないのです」と。(こんな感じに言われた記憶があります)
その時私は、「なるほど~~!それはそれで夢があっていいかも!!」と思いました。
フェラーリだからきっと凄いはず!きっと速いはず!きっと国産スポーツカーには無い魅力があるはず!と夢を膨らませてました。
更にスーパーカー世代として、幼少時代にランボルギーニカウンタックやミウラが走っていると追いかけてた世代です。笑
もうあれはあれこれ40~50年も前のことですが、大人になってから疑問に思ったことがあります。
それは、あの時から300kmメーターでしたが本当に出たの??と。
馬力も350~380馬力、タイヤも40年以上前の技術だし、本当に300km/hも出るのか!??出せたのか!!??という疑問です。
画像はAUTO CAR JAPANより
一説によると、これはイタリア人の洒落っ気のあるセンスだそうで、300km/h出したいという夢だそうです。笑
だからこそ、今もスーパーカーの代表的なメーカーは夢のあるイタリアに多いのかなぁと思いました。
【オーディオの場合】
さてウルトラハイエンドオーディオはどうでしょうか?
東京インターナショナルオーディオショウは無料で誰でも入れます。
そして、数千万~億越えのハイエンドオーディオは誰でも簡単に聴けます。
これはフェラーリなどのスーパーカーを誰でも試乗させるのと同じことではないかと思うんです。
もしそうだとしたらどうでしょう?
スーパーカーを乗りこなすスキルが無い人が一般道や高速などのスーパーカーにとってポテンシャルを発揮しにくい場所を短時間で試乗して何がわかるでしょうか?
むしろマイナス面を指摘する方が殆どでしょう。
「フェラーリなのにあまり速くない」とか「こんな値段でこの程度?」とか「テスラの方が加速凄いからフェラーリ負けてる!」とか、まあまあ散々でしょう。苦笑
ハイエンドオーディオも同じかと思います。
「億越えのスピーカーがこの程度の音??」とか、「俺のオーディオの方が良い音だ!」とか「こんな値段するのにこの音?」とか、実際にそんなコメントをSNSで多く見かけます。
そもそもですが、億越えのスピーカーは巨大になります。
巨大なスピーカーは大きな部屋(大きな容積と天井高)が必要です。
そうなれば、リスニングポジションまでの距離が遠くなり、マスに対してのエネルギーバランスとして音量(パワー)が必要。
となれば、巨大なパワーアンプが必要となります。
これは、スーパーカーの世界にも似ていて、
1000馬力だとか、400km/h出るとか、ニュルで最速だとか、そうなれば、一般道や制限速度が100km/h程度の高速でポテンシャルを発揮できるのか?となります。
むしろ、一般道や高速や峠などを楽しむんだから、排気量も馬力もそこそこでライトウエイトでレスポンス重視であった方が楽しいです!
オーディオも通常のお部屋(4畳半~30畳くらいであっても)なら、そこそこの音量だしスピーカーもそこそこの大きさなので、そのくらいの大きさとパワーでハイクォリティー(レスポンス)なものを選んだ方が楽しいです!
スーパーカーも億越えスピーカーも通常のステージ(オーディオは部屋、車は道路)では発揮できないという点が共通しているとおもいます。
話をオーディオショウに戻しまして、
億越えのスピーカーも含めてですが、高額なウルトラハイエンドオーディオは簡単に鳴らないので安易に音を聴かせるのはいかがなものかと…
スーパーカーは簡単には試乗出来ない!=ハイエンドオーディオは簡単には聴けない!
であるべきかと。
一億越えのスピーカーは鳴らさず、カットモデルや分解した中身を見せたりして展示のみ、夢を与えて音を想像させる。
そのフラッグシップの凄い中身と同じ技術を使った手が届くくらいの価格のスピーカーをめいいっぱいいい音で鳴らしてみせる。
要するに今までのオーディオショウの在り方とはむしろ逆で、中間クラスの手が届くくらいの価格のスピーカーを想像を超えるビックリした音で鳴らす方がオーディオショウとして物凄く面白いと思うんです。
そういう、オーディオショウであって欲しいと思います。
高ければ高いほど良い音がするんだろうな~と思って期待するのは当たり前ですが、簡単に良い音で鳴るわけがなく、その製品単位で得意とする販売店で極めた状態で試聴していただきたいと切に思います!
当店はそういう販売店であるべきと創業からずっと変わらずセレクトショップとして取り組んでおります!
長文で乱筆、大変失礼いたしました。
そのくらいにしておきます。笑
