3年ぶりの村上春樹さんの新作「夏帆」、

ワクワクしながら本を読もうとしています。

どんな場所で読書を楽しめばいいでしょうかね。

ある投稿に「夏帆を読むのが正解なの!」

とあったのに、

インスピレーションを受けて書いてみました。

 

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信濃町駅は高校の最寄り駅だったけど、隣駅はあまり下りたことがない。能楽堂があったりと、背伸びしないと入れない場所があったからだろう。

 今日は隣駅に目当ての店がある。そここそが今回の新作を読むにふさわしいと思う。

 店はすぐ見つかった。店名を確認しつつも、今の私からしたら、すごく昭和の匂いがする場所だ!

 ドアを開けると、カウベルがカランコロンと鳴り響く。カウンターでうつむいて本を読んでいた店主が身を起こす。「いらっしゃい」

 店内をながめ回すと、各テーブルには灰皿が置いてある。壁はヤニで黄色い。

 どうやら私は昭和にタイムトリップしたようだ。

 店内にはジャズが流れ、中央に見事なグランドピアノが置かれていた。音量はやや大きめだが、かえって読書に集中できそうだ。

 ところで、私は本にカバーを掛けない派である。破けたり、汚れてくればくるほど愛着が増すタイプだ。

 今回もカバーなしで新刊を読み始めるわけなのだが。

 注文のコーヒーを運んできた店主が本に目を留める。かるく目をしばたたせ、店に入ってからずっと視線を避けがちだったが、こちらをまっすぐ見る。

「この本の作者ですけど」

「はい」

「僕と同じ名前なんです」

「だとすると、あなたもいずれ小説を書くことでしょうね」

 と、千駄ヶ谷の「ピーター・キャット」で、私はにっこりと返した。

                             <了>

 

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