恋って。


辛いですね。


上手く互いの気持ちが共有できても辛いと思うことありますが、


振られるともっと辛いですね。


こんな想い、そう経験したくないですね。


前向きな気持ちで、辛い場合は、先が見えていてまだ良いけど。


先が見えない、ネガティブな気持ちは、どうしようもない。


自分に言い聞かせるしかない。


もっと良い人現れるよ。 とか。


でもね。


違うんだよね。


私は、今まで2人しか愛したことがない。


今回が2人目。


自分が本当に愛した人とは上手くいかない。


失礼なことだけど、自分が妥協した人とは上手くいく。


以前結婚していて、その人も自分自身が妥協し、決断し、結婚した。


結果、離婚。


だから、自分に妥協しない、自分が本当に愛した人と一緒に過ごしたい。


そう願っていた。


約1ヶ月前、私の前にその二人目の存在が現れた。


同僚であり、先輩でもある。


彼女は、すごく前向きに仕事をし、私にも色んな事を聞いてきてくれて、

私のことを尊敬していた。


彼女との会話は自分本来の姿をみせられ、本音で会話が出来た。

彼女もそう思っていた。互いに仕事のことだけど、涙を流した仲でもある。


彼女を幸せに出来るのは私。

私は幸せになれる。だから彼女はもっと幸せになれる。

やっと現れた。私の本当に愛したい人が。


そんな想いが、毎日募り、告白。


結果.....。



辛い。


明日からどんな感じで接しれば良いのか。


普段どおり。そうだよね、普段どおり、自分の気持ちを殺しながら。


今でも好きだし、これからずっと思い続ける。 そのくらい真剣な思い。


昨日から今日にかけてなんて最悪。


朝から酒飲みまくり。 量にして一升瓶でいうと3本は空けた。


でもね。 酔えないんだよね。


先程まで、会社のメールに、明日からの業務連絡しているんだよね。普通に。


いつもと変わらないような感じで。


この世から消えたい。 この先一人ぼっち。 多分ね。

期待してもしょうがない。 いい年してこんな気持ちって。


恋って、辛いものだね。






大切なもの。

私にとって運命の人。

そう思えた。

やっと、見つけた。ずっと探していた。

これから先も愛し続ける。



でもね。



彼女には、


好きな人がいた。




多分彼と付き合うと思う。

彼も私のこと好きって言ってくれてるの。

私は、この人と幸せになりたいって思いたいの。

私を幸せにしてくれる人を求めていないの。


でも、○○さんが、私の事本当に好きって思ってくれていること

とてもうれしかった。 


仕事で、こんなに分かり合える人いなかったし、すごく頼りにしていたよ。

なんでも教えてくれるし。 今もそうだけど、頼りにしているから、

これからも色んな事教えてほしい。



やっと見つけた大切な彼女。

離したくない。


でも


これからずっと彼女のこと大切に想い続けるのって難しい。

できれば、忘れたい。 もう話したくない。 

そうしないと、自分が自分でいられなくなる。


違う行動に出てしまいそうで怖い。



私はこれから先、彼女の事しか愛せないと思う。

だから、私のこれからの人生は、ひとりぼっち。


大切なものを、大切に想い続けるは、難しい。












美奈子さん。 


あー。 坂本さん。 こんにちは。


こんにちは。 元気でしたか?


はい。 大分たつし、もう大丈夫ですよ。


そーですか。 まぁ こんなことになってしまって.....。


大丈夫です。 私幸せですから。





ねー。 ほら、この人誰だと思う?

あーちゃんのパパだよ。

お父さんはねえー。 すごくやさしい人なんだよ。

ママにとって最高の人なんだよ。

もちろん、あーちゃんにとってもね。

これから、パパに会いに行こうか。



パパ、私達幸せです。

パパって恥ずかしいね。 いつもの通りに言うね。


お兄ちゃん。 私達、幸せです。

ほら、あーちゃんも喜んでいるでしょ。

見える? お兄ちゃん。 大きくなったでしょ?


私とお兄ちゃんの宝物だよ。

これからも私達のこと見守ってね。

また、いつか、この白い浜辺で3人で会いたいね。


じゃあ また来るね。 




end




お兄ちゃん。  最近顔色いいよ。


そうか? 


うん。 少し元気になったんじゃない?

ねー。 ちょっとお願いがあるの?


何?


うん。 


何?


晩御飯作るね。


えっ? それ?


うん。 嘘、後でね。




治療をはじめてから、半年が過ぎた。

抗がん剤投与のため、入退院を繰り返し、精神的にも疲れがある。

髪を抜け落ち、いつも美奈子が作ってくれた帽子を被っている。


医者が言うには、よくなっているという。でもその顔から本当のこととは思えない。

私にばれないように美奈子と医者が話をしていることは知っている。

たまたまその現場を見たとき、美奈子は泣き崩れて、看護士さんにささえられていた。


そんな状況で、私の体が良くなっていることは想像できない。

むしろ、死に近づいていると思うのが一般的だろう。




ねー。 今日お兄ちゃんと一緒に寝るね。


ん? まあいいけど、どうしたの?


お兄ちゃんの腕枕で寝たいの。 いい?


いいよ。 



その夜、私と美奈子は、抱き合った。


白い体を強く抱きしめ、本能のままに美奈子を激しく揺らした。


顔を振り乱しながら、大きな声で喘ぎ、美奈子も本能のまま呼応した。


そして美奈子は私の行為を全てを受け入れてくれた。


美奈子も覚悟をしていた。 








治療がはじまった。


苦痛。 ただそれだけ。


近所の方も心配し、毎日のように看病に来てくれる。


美奈子には迷惑を掛けている。だから美奈子に、事あるごとに、 ごめん。 そう言うと


美奈子は、謝らないで。 笑顔でそう言ってくれる。 


私は幸せ者。



でも自分の事は、自分でしか分らない。


医者が何を言おうと、近所の方が励ましの言葉を掛けてくれても、


私の死は、近づいて来ている。



後悔はしない。 そう決めて、一生美奈子を守るため、幸せにするため、二人での生活を始めた。


真っ白砂浜と青い海。 そして透き通った純粋な汚れのない美奈子の心は、私の心を癒してくれる。


美奈子を私はこの先、絶対に幸せにすると誓った。


けど、肉体が悲鳴をあげ、気力だけではどうしようもない状況になってしまった。


もう無理だよ。 あきらめの言葉が心に突き刺さる。


美奈子も分っていると思う。


私の死に。





美奈子。 ごめんな。


もう、お兄ちゃん駄目だよ。


ごめんな。 本当にごめんな。


幸せにできなかった。