
同時に、こういう作家の特質としてその時代の先端的なツールを小道具として巧妙に取り入れてきた、という部分もあって、それは逆にそのテクノロジーが陳腐化してしまうとやや小説としても時代遅れに見えてしまう、という弱点も合わせ持つ事になるので、そういう意味でも刊行された時期にちゃんと読まないと、素直に感心できなくなってしまう、というか時代性に共感できなくなってしまうのですよね。
この「プラスティック」も、ワープロで綴られてフロッピーディスクに残された文書を掲載した、という形態をとっているところ、やや時代の流れとともに陳腐化している感はありますが、そこはご愛嬌。まだ理解できる範囲です。こんなに早くワープロ専用機が陳腐化するとは。
夫の帰りを待つ間の主婦の手記から始まり、彼女の周りで起きた奇妙な出来事、そして彼女が惨殺死体で発見されるところからストーリーはどんどん語り手を変えて展開していきます。
まあ、ミステリー小説のネタとして、もはや○○人格、というのはそれほど珍しくなくなってしまったので、途中まで読んでいてだいたい見当がついた部分もあったのですが、それにしても、仕掛けられたワナの用意周到さには舌を巻き、最後の大仕掛けには思わず手を打ちました。
これ以上書くとネタが割れてしまうので、興味がある方はどうぞ。