イメージ 1

このところ岡嶋二人を続けて読んでみて、もっと早くこの作家をちゃんと読んでこなかったことを後悔しているのですが、もう解散してしまったのでいまも文筆活動が盛んな井上夢人の作品をいくつか読んでいます。何年か前にもソロ名義の「ダレカガナカニイル」を読んだのですが、かなりサイコミステリー風だったので、「クラインの壺」などのSF作品の切れ味には感心したものです。

同時に、こういう作家の特質としてその時代の先端的なツールを小道具として巧妙に取り入れてきた、という部分もあって、それは逆にそのテクノロジーが陳腐化してしまうとやや小説としても時代遅れに見えてしまう、という弱点も合わせ持つ事になるので、そういう意味でも刊行された時期にちゃんと読まないと、素直に感心できなくなってしまう、というか時代性に共感できなくなってしまうのですよね。

この「プラスティック」も、ワープロで綴られてフロッピーディスクに残された文書を掲載した、という形態をとっているところ、やや時代の流れとともに陳腐化している感はありますが、そこはご愛嬌。まだ理解できる範囲です。こんなに早くワープロ専用機が陳腐化するとは。

夫の帰りを待つ間の主婦の手記から始まり、彼女の周りで起きた奇妙な出来事、そして彼女が惨殺死体で発見されるところからストーリーはどんどん語り手を変えて展開していきます。

まあ、ミステリー小説のネタとして、もはや○○人格、というのはそれほど珍しくなくなってしまったので、途中まで読んでいてだいたい見当がついた部分もあったのですが、それにしても、仕掛けられたワナの用意周到さには舌を巻き、最後の大仕掛けには思わず手を打ちました。

これ以上書くとネタが割れてしまうので、興味がある方はどうぞ。