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会社に昼間に用事があって、用件が済んだ後に映画でも見に行こうと思ったら、どうしても面白そうなヤツとは渋谷でも歌舞伎町でも時間が合わないので、久しぶりにレンタルで済ませよう、ということで渋谷のTSUTAYAでDVDを借りました。

いろいろと悩んで何本か借りた中で最初に見たのがこれです。評判がいいというのは聞いていたのですが、なかなか手に取る機会がなかったので、これをきっかけに全作品制覇したいかなと思っていますが、これだけでもいいのかも。

ある日いきなり6人の男女が拉致/監禁されてさまざまな仕掛けの凝らしてある立方体の部屋「キューブ」で発見されます。そこから、さまざまな脱出の努力をしていく、という、いわゆる「脱出エスケープもの」というジャンルになるんでしょうか。SFと言うかどうか微妙なところですが、ヒッチコックの「救命艇」をリメイクした「ライフポッド」がよく似た作品と言えるかも知れません。

いわゆる謎解き部分は、算術の天才少女の独壇場なので、文系人間としては割にお任せ状態になってしまい、どちらかというとどんどい心理的に追いつめられていく人間ドラマとして見るべきなのかな、という感じになっていきました。特に、警官を自認して、どんどんみんなのリーダーシップをとっていく人間の自我の崩壊の過程というのは、世の中のリーダーが多かれ少なかれ抱えている恐怖の裏写しのような気がします。キューブが生まれたいきさつを「官僚主義」に帰結させているあたり、ちょっとジョージ・オーウェンの「1984年」やギリアムの「未来世紀ブラジル」あたりの世界観を連想させます。

セットは多分かなり限定的な使い方をしてるんでしょうね。同じセットをライティングを変えたりして別の部屋に見せているだけで、そういう意味でのセット代はすごく安く上げているんでしょう。その分カメラワークはかなり自由自在、水平の感覚すら失わせてしまうような巧妙な作りです。

ただ、早く次の部屋を見つけなければ、という時間との戦いや焦りのようなものは、あまり加速する要因がないので、そういう意味での焦燥感というのはあまり出てこなかったですね。その分逆にトラップなどのイベントで追い込んでいったというか。役者のちょっとした表情で場面がどんどん変わっていく、ヨーロッパの映画を見ているような感覚でした。監督さんはカナダ人だけど名前はイタリア風なので、あまりハリウッドっぽさはなかったですね。

ちょっと残念だったのは画質。DVDで見たのに、マスターがよくないせいか、レンタルのVHSで見ているような甘い画像でした。低予算で作った映画なら、しかたないですかね。

もう一つ、面白かったのはおまけでついてきた「Elevation」という短編。同じ監督の作品なのですが、やはりエレベーターという狭い箱の中だけを使って撮影しています。役者もわずか3人で、本当の世界とどっちなの?という緊迫感あふれるパニックを生み出す事に成功しています。パニックものの王道は、既成概念を疑わせる事、なので対象が少なければ少ないほど有効なのですな。