私は小さい頃、押上商店街の近く、今で言うスカイツリー前に住んでいて、浅草界隈は買い物に来たり食事に来たり、花やしきに行ったり、小さな頃のお出かけスポットが浅草だった。

その頃下町には生地屋さんやボタン屋さん、縫製工場、いわゆる服飾関係の小さな工場がたくさんあって、デザイナーだった叔母とそれを支えて会社を営んでいた父、2人の姉弟のビジネスのスタート地点になった場所がこの界隈だった。
そこを原点に、その後会社は名だたるアパレルメーカーが目指す渋谷に移転し、その後50年弱、波はありながらも婦人服メーカーとして父と叔母が必死に働いてきて、5年前、父自ら、誰にも継がせず会社を畳んだ。叔母はもっと仕事したかったと思うけど、コロナ禍直前に会社を閉めた父の先見の明は完璧なタイミングだった。

今日は父の一周忌。

本当は当日に法事でもやってあげたらいいんだろうけど、父は自他ともに認める仕事人だったから、自分の会社の原点になった場所で仕事をしている私を、喜んで見ていてくれるだろうと思う。

では今日も舞台に立てる喜びに感謝しながら。
浅草公会堂でお待ちしています。