私は当時23歳。

両親が朝早くから関西国際空港まで送り届けてくれた。

数人の友人も一緒に見届けてくれたのを覚えている。

 

荷物検査に入るところで皆とお別れし、さあ向かおうと意気込んだような。

 

諸々の準備をすまし、飛行機に乗り込む。

直行便で9時間程かかった。

飛行機の中では映画を見たり、寝たり、、、目が覚めてそろそろかなと思い、時間を確認すると残り6時間、、、まだそんなに!?

みたいなことを繰り返していたらフランクフルト空港に到着。

荷物を受け取り、まずは目的地のマインツ中央駅に向かいたいところだ。

しかし、右も左もわからん、電車の乗り方もチケットの買い方もわからん。

うろうろしている途中で見つけたチケットマシーンで色々いじっていると現地のおじさんが話しかけてくれた。

 

おじ『どこにいきたいんだ?』

私『マインツメインステーション!』

おじ『それならこれだ』

私『せんきゅー』

 

ドイツ語わからない、英語は受験勉強の際に頭に入れた単語たちだけ。

やさしいおじさんのおかげでなんとかマインツ行きのチケットを手に入れた。

 

そして次の問題はどの電車に乗るか。

掲示板のMainzの文字を頼りに突き進み、今まさに出発しそうなマインツ行きを発見。

電車から大勢の人が降りてきた。その中の1人のグレーのスーツを着たビジネスマンに一応確認したところ、マインツ行きで間違いないとのこと。

電車に乗り込み、空いた席を見つけ、腰掛ける。

ふかふかなイスにテーブルまでついている。

 

後から知ったがこの電車はICと呼ばれる少し料金も高めの速い電車であった。

ドイツでは駅に改札はない。

だからといってチケットを買わずに乗車していると、不正乗車をチェックするコントロールと呼ばれる人たちが電車内を巡回し、不正を発見すれば罰金!のようなシステムである。

そんなこともつゆ知らず、私は窓から景色を眺め、ここにきてやっとちょっとした旅気分を味わっていたのが懐かしい。

外はどんよりとした曇り空で雨がしとしと降っていた。

4月6日だったがまだ寒く、暖かい格好をしていてよかった。

 

私が乗車した電車にはコントロールがまわってくることはなく、30分程電車に揺られ、なんとかたどり着いたぞと達成感を味わっていた。

 

マインツ中央駅の中にはスターバックスや、マクドナルド、本屋さんなど主要駅らしく、いろんなお店が入っていた。

事前に連絡を取っていたサッカーチームの選手が迎えに来てくれるとの事で、約束していたスターバックスの前で待機。

遅れて迎えに来てくれたのは1つ年下の選手であった。

寮までの道のりの途中、街のことやチームのことなど紹介してくれた。

おしゃべりな彼もまだドイツに来て1ヶ月も経っていないらしい。

彼とは選手の住む寮で相部屋となる。

 

ドイツに着き、1日目が終わった。

2日目には仕事の面接がある。

金銭的に余裕はなかったので、現地に到着次第すぐ働かせてもらえるように事前にお願いしていた。

マインツからフランクフルトまで行く予定だ。

 

狭い部屋にベッドが2つ。

薄っぺらい布団でベッドは固かった。

疲れもあったので早めに眠りについた。