ニュージーランドの農業地域

全般に西岸海洋性気候(Cfb)であるが,南島西岸は降水量2,500㎜以上の多雨多雪地域のため,中緯度で標高2,000m以下という温暖な場所に氷河が見られ,フィヨルド(現地ではサウンドと呼ぶ)が発達している。カンタベリー平野ではと小麦の混合農業が行われ,その西側の山麓ではメリノ種など羊の大牧場が多い。北島の東岸と西部台地ではコリデール種などの羊と肉牛の放牧,オークランド半島周辺では酪農と園芸農業が盛んである。牧場・牧草地が国土の1/2を占める。1人当たり家畜頭数は世界一で,生産の約80%を輸出する農畜産物が輸出額の約50%を占めている。

 

ニュージーランドでは,農業補助金制度の廃止や羊毛・羊肉の価格の下落などの理由から牛の酪農への転業者が増えたため,羊の頭数はピーク時の約半分に減少したが,それでも人口(約450万人)の約6倍もいる。毛の細いメリノ種と長毛のリンカーン種などを掛け合わせた,毛肉兼用種のコリデール種が誕生した土地でもある。