WARDS×WORKS 6 | 語部屋

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~かたりべや~  表現集団ATPの「かたりべ」こと、横溝大希が綴る叙事詩です。

今日も、演出家:島崎敦毅(しまざきあつき)さん 主催【表現演技研究所WARDS×WORKS】に参加してきました。


そんなワークスでは、独自に『演技質』と言う単語を用いて 演技について説明したり討論したりします。
簡単に言えば、「どんなタイプの演技なのか」です。

今日はいつも以上に、その『演技質』についての研鑽がメインでした。

そんなこともあったので、今回は5つある『演技質』を 私の視点から解説します。
皆さんも、自分と照らし合わせてみては如何でしょうか?
何か発見があるかもしれません。


『装備』
情報や要素を分析し、それらを計算により状況によって使い分ける型。
コントなどでよく見かける「おばあちゃんと言ったらこんな動き」などのテンプレート的な要素を含む。
職業独特の喋り口(電車やデパートのアナウンスなど)もこれ。

(ちなみに私は、この装備型が強いです。)

○強み
切り替えが早く、形や動きを求める芝居に強い。

ずれることが少ない為、安定性がある。
一般的な正解に辿り着きやすい。
少ない時間で演技が出来る。
相手に届ける事が前提の為、聞き取りやすい。

○弱み
感情などの内面が希薄になりやすい。
同時に装備できる数や種類が少ないと、単調な芝居になる。
考え過ぎて、動きが鈍くなったりする。
相手を無視して構築した場合、独り芝居になってしまう。


『支配』
役を自分に近付けて芝居をする型。
即興劇など、自分をベースにした芝居がこれ。
「この役は、是非この人で」と、当て書きなどで役が決まったりもする。

○強み
その人自身で良いので、受け答えなどが正確で役がぶれない。
素直に芝居が出来る為、完成が早い。
自分と役の共通点を見つけるのが得意。
動きなどの演出がついたとしても、自分の延長だと認識するので対応力がある。

○弱み
良くも悪くもその人なので、本人の人間性が如実に役に影響する。
自分から外れないので、演技の幅が狭くなりがち。
似ているところばかりを盛りすぎるので、削ることをしない傾向にある。
普段喋らない言葉など、自分が持っていないことが苦手。


『融合』
自分と役を近付けて芝居をする型。
「どう感じるか?」などの事柄に対して、その役の視点で考える。
特に舞台などでは、これを目指す役者が多い。

○強み
役を中心に考える為正確性が高く、場合によっては演出家以上にその役を認識している。
内面を重視した芝居になる為、感情を吐露するようなシーンで光る。

状況に適した演技になる。


○弱み
役にそぐわない動きなどに抵抗を持つことが多い。

役については考えるが、演技に関して考えが及ばないことがある。

演者の幅によって、出来る役に開きが出てしまう。

役を作るのに時間がかかる。



『憑依』

役そのものになる型。

考えるのではなく、感性でそうなる。


○強み

爆発力が大きい。

役になるまでが早い。

何をしても、その役として成立する。


○弱み
考えることが苦手な方が多く、どうしてそうなるのか理解していなかったりする。

演出などの対応に弱い。
入り込みすぎてお客様を無視した芝居になることが多く、共演者のフォローが必要な場合がある。

安定性が低く、ムラが多い。



『統合』
上記4つの内、2つ以上を使い分ける型。

ワークスで目指すのはこれ。


○強み

演出や場面によって、最適な演技が出来る。

各型の特性を活かし、安定性と幅の広さの両立が出来る。

それぞれの特徴や仕組みを理解している為、共演者の強みを引き出せる。


○弱み

思考力と感性のどちらも要求される為、習得が難しい。

実用的になるまでに時間がかかる。

選択を誤ると、ちぐはぐになる。




色々と書き連ねましたが、これらは善し悪しで判断するものではありません。

長所があれば短所がある―。

適材適所という言葉の通り、その場に合った使い方をしているかどうかの方が重要なのです。


気になった方は、是非WARDS×WORKSに参加してみては如何でしょうか?