ボディを擦って傷つけた新車を修理に出すため、工場に入れた。
自分で運転して行ったため、帰りの足がない…。
歩いた。
工場前のバス停を横目に歩いて行った。
昨日からのひどい腰痛。
腰にコルセットをビシッと巻いてあるから、大丈夫、だろう…
大通りは何台もの車が行き交う。
30度を超えるこんな暑い日にてくてく歩く独りの女。
いや、おばさん。
すれ違いざま このおばさんを視野に入れた人は なんて思うのだろう…
と、考えるのは 自分が意識過剰という事か。
途中 いつも通っている皮膚科に寄った。
アトピー性皮膚炎を患って43年。
(あ、言っちゃったぁ。)
ん?42年かな?
(もう このくらいになったら、どうでもいいでしょ。)
内服薬、塗布薬、一日たりとも欠かせない。
医院の待合室で休憩を兼ねて雑誌を手にする。
今日は 診察を受けず、薬だけをもらうのだ。
私と共に年を重ねたアノ先生に会わずに帰ろう。
(べつにドクハラされる訳でもされた訳でもないけど。)
皮膚科を出て また歩き出す。
目的地まで半分くらいまで来たようだ。
喉が渇いて来た。
どこか喫茶店に入ろうか。(独りで入れないくせに。)
もう少し行けば、アイスクリーム屋さんがある。
カップで頼もうか、コーンにしようか。(独りで入れないくせに。)
自販機でスポーツドリンク、がいいんじゃない?
でも どうしてか、自販機が現れても現れても
通り過ぎてしまう。
結局 目的地近くのスーパーに入って、重い荷物にならない程度の買い物をして
飲み物も買った。
スーパー内でカップにストローを刺して
歩きながらストローを口に持って行った。
(初めてかもしれない、大人になって飲みながら外を歩くなんて。)
歩道を前方から高校生の自転車軍団が押し寄せてくる。
もちろん道をあけるのはおばさんだ。
彼らが私を避けて通るとは思えなかった。
男臭い汗の臭いとともに自転車軍団は私の横をすり抜けて行った。
次に押し寄せるは 女子高生の自転車軍団
近頃は…
女の子と言えど、一人のおばさんに道を譲るなんて思わないらしい。
身の危険を感じるまで、直進したが、
やはり横にそれたのは私だった。
あぁ、やっと病院の門が見えて来た。
目的地だ。
ここに夫の車が止めてある。
病室の夫には会わずに帰ろう。
(今朝 洗濯物を取りに行ったから)
きゅるるるる…
エンジンが掛からない
きゅるるるる…
あれ~?
どきどきする
ここまで来て 夫の車で帰れないなんてことあるだろうか。
代車を借りるべきだったのか。
もう一度
お願い!
お、おおぉー
やった、掛かった
く、く、く、く、すとん
あらら 切れた
どきどき
どうなるんだぁ?
あ、急に腰に激痛が…!