漫画感想『僕とルネと青嵐』
『僕とルネと青嵐』文月晃★★☆☆☆あらすじ主人公は、美大に通う男子大学生の大野創一。ある日、教授の部屋で見た絵画に感動し、その絵の作者である「青嵐先生」のところへの弟子入りを決意する。しかし、青嵐に門前払いを食らってしまった主人公。立ち尽くしてぼーっとしていたところ、青嵐の家の幼女に遭遇。その日は幼女と一日中遊んでいたら、青嵐に少し認められて、泊めてももらえることに。翌朝起きると驚愕の事実が判明!なんと、例の絵の作者は青嵐ではなく、この幼女だったのだ・・・!田舎が舞台の幼女との交流漫画です。(よくある!)幼女は絵画の天才なのですが家庭に問題を抱えています。きっと、美大生である主人公が幼女との絆を少しずつ深め、家庭問題に切り込んでいくのでしょう。 ツンデレお爺さんはそのうち味方となり、家庭問題のラスボスとして幼女の母親(か父親)が出てきそうです。そして、その母親は既に再婚してそう。「あんたなんていらない」的なことを幼女に言いそう (あるいは既に言ってそう)。憶測で何を言ってるんだと思われるかもしれませんが、これからの話の流れはこれで大筋間違っていないと思います。要するに、話がありきたり。先の展開が何となく想像出来るし、この展開から大きく逸れたら物語が破綻してしまうだろうしから修正も期待しづらい。、何とも難しいものです。こういう、話がテンプレな作品を面白くする方法としては、①読者が予想も付かないような、何か新しいものを自然と入れる(難易度超高!)②描写、演出、言葉で魅せるの2つがあると思います。この作品が目指すべきは確実に②でしょう。実際、かなり力が入っているところもあります。それは「背景」。背景にはかなりの力が入っていて、「そこまでやる必要ある・・・!?」っていうくらいに、大ゴマだけじゃなく小さいコマまでしっかりと背景を描いています。背景は描くのに手間がかかり、しかも読者が意識してくれることも少ないので、手を抜きたくなりがちです。でも、そこから逃げていない文月先生はすごい。でも、背景だけで「演出」と呼ぶのは、やはりキツイです。セリフや人物の絵、コマ割りにも、もっと力を入れなければなりません。コマ割りは時にもっと大胆になってもいいと思います。結構おとなしい、真面目な割り方が多い。人物の絵についてはもっとこだわって欲しいところ。特に、表情と幼女の見せ方!!それと、表情をところどころ、ギャグ絵のようなデフォルメでごまかしている節があります。物語の中で主要人物が強く心を動かされた瞬間は、その表情をアップで描くべきですが、そこで大きく見せられた顔が「まるでギャグ絵」では、その感動は読者に伝わりません。もっと場面に合わせた人物の表情の追求を。あとは幼女!幼女へのこだわりが非常に薄い‼幼女とこういうことしたい、幼女がこういうことしてくれたらいいな、っていうシチュへの萌えが感じられないし、絵的な意味でも、体つきとか、ちんまりした感じとか、幼女へのこだわりの薄さを感じる。作者は別に幼女好きじゃないのかな?小さい女の子の日常に癒される幼女萌えは、ジャンルとして確立しているほどの需要がある(cf:『甘々と稲妻』、『銀髪のニーナ』)わけなので、しっかりとその需要を満たせるように、更なるこだわりを持ってほしいです。あと、幼女の家庭問題に何の躊躇いもなく足を突っ込もうとしている主人公の姿は、「ああ、物語のためにキャラが動かされているな」っていう感じが強いので、もう少し主人公のキャラ立てをしっかりとして欲しい。今日の1コマ:木からジャンプする幼女。小さいコマですが、やはり背景をしっかりと描いています。すごい。絵面的にもシュールで、ちょっと面白かった。