叔母の葬儀の時といい、
遠い親戚の来訪といい、
ちょっと遠い親戚の集まる席で
皆さんがおっしゃってくださるのが
「お宅のお婆さんにはよくしていただいた」
「ここのお婆さんに、苦しい時を助けていただいて…」
と。
思いもかけない方からお礼を言われる。
おかげさまで、親戚筋の集まりなど
あまり知らない方々の中に入って、気兼ねをしている私に、
婆さまの生前の行いが、心地よい雰囲気を与えてくれる。
人は亡くなるもの。
ならば、どう生きたらいいか
を、感じさせてもらえた。
裕福な家でお嬢様として育ったものの、戦後は、大勢のこどもや、環境の変化で、決して豊かとはいえない生活を送っていた婆さま。
その中で、苦しい親戚には、手を差し伸べ、困っている兄弟姉妹の子供の面倒まで見たこと。
人当たりが良くて、怒ったことがなかったこと。
だいたい、ニコニコしていたこと。
なるほど。
自分の生き方が、子孫を守ってくれているのか。
また、父母も贅沢をせず、私たち子どもにいろいろと与えてくれた。
おかげさまで、今の自分があり、曲がりなりにもやっていくことができている。
ならば、この頂き物を大切に、そして次へ繋げていきたい。
これも立派な無形遺産。