公演があったのは6月の話なので、今更感のある投稿ですみません。
でもまあ、イープラスの配信やトークショーも9月13日から始まるし、CSの日テレプラスでは完全版の再放送もやってますのでご容赦を。
フィギュアスケートと日本文化との融合、と銘打たれている氷艶シリーズ、今回は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」がモチーフです。
今までの流れ(最初は源義経、その次が源氏物語)からすると意外感のあるお題でしたが、別に和服限定とは書いてないし、宮沢賢治は日本文学を代表する存在ですから、立派な日本文化ですね。
とは言っても、私はちょっと宮沢賢治が苦手だし、事前に公表されていたビジュアルもいまいちピンと来ず、更に直前で演出家とメインキャストのうちのお一人が交代したりして、結構心配しながら観に行きました。
しかし、これが凄く良かったのですよ。
作品全体で言えば、私は今作が一番好きです。
大野拓朗さん演じるトキオと、高橋大輔さん演じるカケルの二人がメインのお話。
直前に急遽出演が決まったにもかかわらず、氷上で華麗にお芝居をする大野さんが凄い。
もちろん動きは陸の上に比べれば制限されているけれど、転倒も、バランスを崩すこともありません。氷の上でも堂々と歌います。良い声![]()
沢山の曲を歌われたけど、「陽はまた昇る」は、この方が元々持っているであろうキラキラ感とマッチしていて特に素敵。「逢いたい」も、切ない気持ちが伝わってきてジーンとしました。
大輔さんは、セリフを言うことへの照れとか恐れとかを完全に乗り越えてました。スケートでビュンビュン動きながら、お芝居も普通にこなしてます。最終日でユキが死んじゃう場面とか、本当に泣きながら舞ってましたよ![]()
現世では真面目で誠実で、それゆえに苦悩する青年という感じでしたけど、銀河鉄道に乗り込んだ後は明るく無邪気にキャラ変していて、驚きました。
そして可愛い![]()
銀河鉄道編に入って最初あたりのはしゃぎっぷりとか、超絶可愛かったですよ。これだけでも私にとっては見る価値ありでした。
なので、なんでカケルはこんなに明るかったんだろう、というのが観終わったあとの疑問でした。不慮の事故で死んだんだし、現世での苦悩を引きずっててもおかしくないはず。
「トキオを元気づけるためかな?」と最初は思ったのですが、無理して明るく振舞っている感が全然ない。なので、それだけではなくて、純粋にカケル自身が銀河鉄道を楽しんでもいるんだろうな、と思いはじめたところでパンフ(公演プログラム)の中のあらすじを読んで、ようやく腑に落ちました。
パンフには、「一緒に宇宙に行く約束は果たしたろ?」というカケルのセリフがありました。実際の劇中では大輔さんが口にすることはなかった、幻のセリフですね。
宇宙の様々な鉱物を探す、というのがカケルの夢。それは勿論、トキオの開発した宇宙船で、トキオと一緒に。
思い描いていたのとは違う形だったけれど、その夢が実現したのが銀河鉄道の旅だったということなのでしょう。
その結果、トキオは生きる気力を取り戻したし、病の苦しみから解放されたユキが自由に舞っている様子を見ることもできた。
これはカケルにとっても、宇宙に行くという現世での夢をかなえ、思い残しをなくすための旅だったのだと思います。
だからこそ、最後に明るく笑って、前向きに終われたんじゃないかなあ。
あと、この明るさは今の大輔さんだからこそ演じられるような気もしました。若者らしく人生に迷っている感もあった以前より、やりたいことが明確になっている今の方が、吹っ切れて屈託ない感じですよね。義経に光源氏と悲劇の美青年役が多かったけど、演技力がアップして、年齢を重ねてもいるので、今回のような明るい役とか、悪役とか、渋いおじ様とか、ヘタレなダメ男とか、他のも色々見てみたいです。
ソロで歌う「守ってあげたい」は、2日目は緊張が声に出てたけど、最終日は「良い声
」と思いました。
この曲、後半ではユキ役の村元哉中さんと二人でアイスダンスカップルとして滑るのですが、やっぱり、かなだいの演技は素敵なんですよねえ。
アフタートークの司会をしていた日テレのアナウンサーさんも絶賛で、私もいちいち共感してました。スタンド席からだとよくわかるのですが、滑りの質がやはり素晴らしかったです。
滑りの質でいうと、サソリ座の場面での荒川さんと大輔さんの追いかけっこもすごかった![]()
アンサンブルスケーターも含めて、スピードを感じさせる場面が多かったのも良かったです。キャストの配置とか振り付けとかも、客席のある3方向を意識して作ってるようで好印象。
ただ、状況説明を背後の大型画面に頼りすぎていたので、画面が見えにくい角度の席だとどういう場面なのか把握しにくくなり、作品世界に入り込むのが難しくなっちゃいます。
氷面に映し出すプロジェクションマッピングであればどの角度からでも見えたし、スタンド席の方が見やすかったりするので、スタンドならではの楽しみ方ができたんですよね。
今回の大型画面も、発色は綺麗だし、場面によってはキャストの顔のアップも映してくれたので、オペラグラスが合わない体質の私には有り難かったです。なので、いいとこどりができると良いなあ。
特に最後の大輔さんのソロ(曲は「かける」)は、笑顔も最高でした!
演者は皆素晴らしかったです。友野くんはお芝居も歌も驚くほど上手かったし、高志郎くんは役になりきった動作や身のこなしが良いです。哉中さんはユキ役も良かったけど、私の中では老婆役が結構ツボでした。荒川さんはやはり悪役ぶりが光ってましたし、アンサンブル勢では中野さんや松橋さんの芸達者ぶりが驚き![]()
そして、命の尊さ、生きることの素晴らしさという普遍的なメッセージが心に響きました。
私が今作の氷艶が好きな理由は、何よりもここだと思います。
普遍的な分、ベタで使い古された感もあるテーマなのに素直に受け取れたのは、ゆずのお二人の楽曲の力があったから。
こんなにも多彩な楽曲を生み出してきたのか、と印象が変わりました。最後のライブも良かったし、スケーターに運ばれて行く北川さんは面白い![]()
劇中で歌う俳優陣も、それぞれの場面で、楽曲のメッセージを力強く伝えてくれました。持ち歌とかじゃないはずなのに、上手い!
お芝居は皆さん一人で何役もこなしているけど、演じ分けもお見事でした。ミュージカル俳優って、本当に何でもできるんだなあ![]()
スケートも危なげなし。まりゑさんなんて、練習映像よりも本番の方がはるかにうまい![]()
衣裳については今回、堂本教子さんが亡くなられた影響を感じずにはいられませんでした。荒川さんの富豪夫人とか、カケルの現世でのフィールドワーク(?)姿とかケンタウロス座の皆さんとかは良かったけど、哉中さんにはもっと似合うのを作って欲しかった![]()
でも、やはり氷艶シリーズ4回目という積み重ねの賜物か、一つの作品としては、最高レベルだったと思います。演目自体やカンパニー自体が魅力を持つように、という、大輔さんの考える方向性にも近づいてきたんじゃないかな。
配信やCSでやってますので、未見の方は是非どうぞ!
