本屋大賞受賞作とその続編。

とにかく楽しく、明るい作品でした。

 



成瀬あかりという主人公の、とことんマイペースでユニークな日々を描写していきます。

 

閉店する西武大津店の最後の1か月に毎日通い、地元テレビの中継に映りこむ。

幼馴染の親友と「ゼゼカラ」(←膳所(ぜぜ)出身なので)というコンビを組んでM-1に挑戦する。

けん玉とか、百人一首とか、一度興味を持つととことん極める集中力。

進学校に通い、京大も余裕で受かると言われている頭脳。

地元の観光大使に選ばれるくらいだから容姿も整っている。

 

欠点とすると、ほら吹き?であること。数打ちゃ当たるの精神で、他人には実現不可能にも見える目標をどんどん立てる(本人は本気)。どれか一つでも成功すれば良いらしい笑い泣き

 

ああ、こんなふうに超然と生きていけたらいいだろうな、と思ってしまうような人物像。

しかし成瀬自身は優れた能力を鼻にかけることはなく、自分がどう見られるかを全く気にしていないので嫌味はない。愛すべきキャラとして楽しめます。

 

そして、これでもかと出てくる地元ネタ。

西武大津、ミシガン、膳所高、西川貴教などなど。西川貴教以外は知らなかったけど、関西出身の人に聞いたところ、どれも実在している(していた)らしい。

琵琶湖もこれまでとは違って見えてくるし、今まで全く知らなかった膳所がどんな所か見てみたいし、なんなら成瀬のバイト先のスーパーだって行ってみたくなっちゃいましたよ爆  笑

 

一番笑ったのは大津市民憲章のくだり。西浦くん、ガンバ!

 

西浦だけじゃなくて、成瀬の親友の島崎とか、論理的クレーマーの呉間とか、成瀬の親とか、皆それぞれに成瀬に振り回されているけれど、それと同時に、成瀬と関わることによってそれぞれの幸せを見つけている。

特に、成瀬と島崎の関係は楽しくて、かつ心が温まりました。青春ですねえ。

成瀬も含めて、登場人物全員を応援したくなる作品。

 

各話ごとに語り手(登場人物の中の誰か一人)が変わるんだけれど、語り口や視点の変化がもう少しあった方が良かったかも。

読みやすいし面白かったから続編もすぐに買って、一気に2冊読んだのですが、その分、どの話も背後に同じ人(著者)がいるな、というのが見えちゃった気がします。

 

とは言ってもこれがデビュー作ですからね。驚異的な面白さです。

この調子で成瀬が200歳になるまで書き続けるのはどうですか?宮島先生?爆  笑