気まぐれ図書館 -9ページ目

気まぐれ図書館

気ままに綴っていきます。
主に、サイト更新関連かと。
社会人しながら、専門で小説の勉強中です^^

 憧れだった。

 時には、嫉妬すら覚えるほどに、才能に満ち溢れている双子の兄は。

 羨ましかった。

 自由奔放に、自分の決めた道を真っ直ぐ進んでいく、弟が。

 結局答えは出ないまま、平行線だったけれど、これだけは言える。

 唯一、かけがえのない存在だよ、お前は。


 少し、日が陰ってきたのが、窓から差し込む光の気配で何となくわかった。


 だが、顔を上げるつもりは毛頭ない。


「ミゲの葉は、強力な毒性を持つけど、一夜だけ咲く花は万能薬になる、と…。それで、カプラルの牙は…」

「リン」


 不意に、後ろから声をかけられて、それまで本に没頭していた金髪の少年が顔を上げた。


「ライト!」

「お茶、淹れたから休憩にしろよ。あんま、棍詰め過ぎるのも良くないぞ」

「お、サンキュー」


 言うが早いか、リンは先刻まで開いていた本を閉じ、部屋を出る。ダイニングまで行けば、そこにはお茶に加えてお菓子も用意してあった。


「え? お菓子までライトが?」

「まさか。お茶は淹れたけど、どっちももらいもん」

「って、ガリファリアの茶葉じゃん! こんな一級品、さっすが、宮廷魔道士様への貢物は違うな」

「茶化すなよ」


 そう言って、温めておいたカップにお茶を注ぎながら苦笑するライトを、リンは横目で見やる。


 金髪碧瞳、自分と同じ顔立ち、同じ髪や瞳の色をしているのに、中身は少しずつ違う。


 そんなことは、とっくの昔にわかっているのに。


「けど、リンが魔法薬学に興味を持つなんて珍しいな。実践系の勉強しか興味がないんじゃなかったのか?」

「たまたまだよ、たまたま」


 言いながら、リンは、ライトが淹れてくれたお茶を口に含む。


「お、やっぱりライトのお茶はうまいな」

「お褒めにあずかり、どうも」


 今度はライトが茶化したように言って、ゆっくりと自分の席に座る。


 何でも、そつなくこなす、双子の兄。ライトは、そんな風に周囲の目に映っている。

 もちろん、リンもその一人ではあるのだが、同じ家に住む者同士、当然、欠点も知っている。くだらない冗談も言うし、他人の為に自分の身を粉にする、というタイプでないことも。


 それでも、


――やっぱり、すげえな、って思うんだよな。俺も見習いたいって、薬学やろうと思ったけど、ライトに勝てる気はしない。


 それは、心からの言葉。たまには喧嘩もするが、決して嫌いになったことなどない。ただの一度も。

 そんなことを考えながらライトを見やる。


 すると、彼はその視線に気付いたのか、笑ってみせた。


「俺には、リンの方が凄い、って思うけどな」

「え…?」


 まるで、心を読んだかのような唐突な言葉に思わず聞き返せば、ライトは意味ありげに笑ってみせる。それから、テーブルの上に置かれていた茶缶の中の茶葉を、おもむろに手に取った。


「お前は、俺の淹れるお茶はうまいって言ってくれるけど、それは、知識があれば出来ることだ。魔法薬学にしてもそう。まぁ、リンは知識を入れるのが好きだから、飲みこみも早いと思うけど」


 言いながら、ライトがガリファリアの茶葉の上で、円を書くように指先を回す。

 すると、さっきまで緑色をしていた茶葉が、茶色に変色する。


「ガリファリアの誘惑?」

「正解」


 聞いてみたリンの言葉に、ライトはすぐに頷いてみせる。


 ついさっきまで読んでいた薬学の本に書いてあった。ガリファリアはお茶としては高級品だが、魔術で酸化させると一瞬にして毒薬に変化する、と。


「まぁ、似て非なる、と言うよりは、その逆かな? って言ったら、学者連中には怒られるだろうけど」

「確かに」

「けど、こういうのは、学べば知ることが出来る。けど、動こうって意思は、なかなか身に着くもんじゃない」

「え…?」


 これで、聞き返すのはもう二度目か。


 ライトの意図が読めなくて続きを待っていると、


「風に消えよ、ナール」


 静かに呪文を唱え、毒薬と化したガリファリアの茶葉を燃やすと、真っ直ぐにリンを見やる。


「思い立ったら即行動。そういうの、昔っから得意だったからな、リンは。危なっかしい、と思い反面、そういうお前が、羨ましかったよ」

「ライト…」


 まさか、似たような想いを、ライトも抱いていたなんて。


 一瞬、そんなことを思ったが、それはすぐに消え飛んだ。


「それは、俺も一緒。天才魔道士って言われてたライトが、俺の誇りでもあり、憧れだよ」


 それぞれ得意な分野は違う。価値観も、微妙に。


 それでも、


「俺達は双子なんだ。いつだって、根底では繋がってる」


 それを言ったのは、二人同時。そして、吹き出して笑いだしたのも、二人同時だった。


「お茶を飲んで休憩したら、お前の薬学の勉強、見てやるよ」

「じゃあ、それが終わったら、俺と一緒に街に出ようぜ」


 言いながら笑い合って、二人同時にお茶を飲む。

 リンが突き出した拳に、ライトが合わせたのも、ごく自然の流れで。

 繋がっている、その言葉だけで、強くなれる気がした。


 憧れて、追いかけた。

 羨ましくて、追いかけた。

 想いは違っても、とる行動はおんなじで、勝ち負けとか、そういうのはどうでも良くて。

 ただ、並んで歩けるようになりたい。

 大事だからこそ、一緒に。


photo:01


表紙のアルバロにまずやられ、
中身の書き下ろしに再度殺されたwwwww

バカですか?
いえーす!\(^o^)/←


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photo:01


ここまでくると、ほんと、重症かもしれない←



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