【今日の良い言葉 303】

おはようございます。

10月も最終週の始まりですね。
本屋では年賀状の本が平積みされ、今年ももうそんな時期になったかと感慨もひとしおです。

　
今年一年の総決算に向けて頑張りましょう。

今日の良い言葉も、
『致知』11月号から、宮本輝氏のインタビュー記事をシェアです。

様々な苦難を体験された作家の方のお話はとても考察が深く、心に響くものがありますね。

それでは皆様、
今週も上氣元で充実の一週間を過ごしください。
　　
コメント楽しみにしております。
　

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「足下を掘れ、そこに泉あり」
　
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───五年にわたる連載を形にしたいま、次なる目標はなんですか。
　　

【宮本】　とにかく八十五歳まで小説を書きたいですね。だからあと二十年。年を取って段々スタミナもなくなっていくだろうけれども、もし八十五歳まで健康で小説を書き続けられたら、僕は百編の長編小説を残すことになる。
　
これも昔、三十五の時にある人に言われたことなんです。「輝さん、あと五十年小説書けよ」って。「はい」と返事はしたものの、五十年っていったら八十五歳でしょう。でも、その人は「輝さんならできるよ」って。

「輝さん、仕事をする時は一生懸命やるんだよ。必死でやるんだよ。だけど疲れたら休むんだよ。そうしてまた一生懸命仕事をする。そういう自分のリズムを作りなさい。そうして年に二本ずつ五十年書いていけば、宮本輝は生涯で百編の長編小説を書ける。純文学で百編の長編小説を書いた作家は世界にいないよ」
　
この言葉を聞いて、「よし、やろう」と思った。質はともかく量で世界一になろうと。
　
そのためにはまず、八十五歳まで生きなあかん(笑)。でも、できると思う。頑張って生きて百編の長編小説を書いて死にたいです。「みなさん、ありがとう、ありがとう」と言いながら。

───三十五歳の時に抱いた一念が、いまも先生の活動の原動力になっているのですね。

【宮本】　やっぱり自分の仕事を最後まで手を抜かずやることですね。みんな与えられた仕事があります。主婦には主婦の仕事があるんです。家事をするのも、夫を支えるものそうでしょう。自分に与えられた仕事、自分に与えられた役割を、手を抜かずやり尽くすことが人生では大切だと思います。
　
「足下(そっか)を掘れ、そこに泉あり。」

という言葉がありますが、皆、自分の足元を掘っていったら、必ず泉が湧いてくることを忘れているんです。あっちに行ったら水が出ないか、向こうに行ったら井戸がないかと思っているけれど、実は自分の足元なんです。
　
与えられた仕事をこつこつと地道にやり続けた先に、自分にしか到達できない泉がある。その豊かな泉を掘り当てるまでのプロセスが、「一念、道を拓く」という事じゃないかと思います。

宮本輝 (作家)

（『致知』２０１２年１１月号　特集「一念、道を拓く」より）
　