脱税裁判への出廷。証人尋問の心得3つ | 元国税OB税理士・マルサの事件簿

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ガサ入れ300回 元マルサの税理士 飯村正三 です。

 

マルサの事件に戻ってきました。

今、国会で参考人が総務省接待問題で追及されています。

テレビ中継を見ていて思い出しました。

 

私が脱税裁判の証人として法廷に立って得た心得3つをお話します。

 

刑事裁判における証人の心得3つ

  • 聞かれたこと以外には話さない。
  • 感情的にならない
  • 誘導尋問に乗らない
です。今日の国会に呼ばれた参考人と同じですね!
 
さて当時の税制や専門用語が出ますが我慢してください。

昭和62年はバブル上昇期で株式取引の脱税事件が多かった年でした

 

当時の税制は、「株式売買益は原則非課税」で、売買回数が年間50回以上、20万株以上が総合課税(他の所得と合算)となっていました。

 

マルサに入って2件目は、この株式非課税制度を悪用し、家族名義などを利用して多額の株式売買益を申告しなかった所得税法違反事件でした。

 

納税者は、着手から起訴されるまで脱税事実を認めていましたが、

初公判で一転して無罪を主張しました。

 

そのため、裁判所へ提出した書証(脱税事実を証明した質問てん末書、査察官調査書など)が不同意となったため、担当査察官が証人として裁判所に呼ばれたのでした。

 

脱税事件で証人尋問を受ける査察官は、殆どいないと思います。

 

裁判所の独特な空気やその法廷に立つ緊張感は今でも忘れません。

検察側の証人でしたので主尋問は、スムーズでしたが、弁護側の反対尋問相当厳しいものでした

 

弁護人は裁判のプロです。

証人を感情的にして弁護側に有利な証言を引き出そうと、あの手この手で攻めてきます。二度と経験したくないですね。

 

何とか2時間、弁護人の攻めをかわして頑張って得たのが「証人の心得3つ」です。

 

この経験が「マルサとして何とかやっていけるかな」と思い始めました。

 

その後、幸いにして法廷に立つことはありません。