米山隆一議員のツイートに端を発する一連の論争、膠着状態になってきたようにお見受けします。

ここ10日ばかり側から眺めていた者なりに、走り書き程度の形ではありますがいくつかのポイントをまとめてみました。

お目汚し大変恐縮ではございますが、以下ご一読いただければ幸いにございます。

もしこの拙いメモが少しでもお二人のお役に立てばこれ以上の喜びはありません。



◼️そもそもの論点◼️


【米山氏の考え】

自身が政治を行なっていくにあたって話の順番としては①経済②福祉③ジェンダー・気候変動である。

しかしこれはあくまで話の順番であって、実行の順番はこの限りではない。

いずれにせよ、大切なのは人に優しい政策であること。


【フェミニストの反論】

ジェンダー問題が経済や福祉より後回しなのはおかしい

ジェンダーは経済や福祉と同時に語られるべきテーマである

例)

・男女の賃金格差(経済)

・一人で出産、子育てを背負わされた女性への支援(福祉)



◼️言葉の誤解が論点を変えてしまった◼️


【米山氏の言葉】

『ジェンダー・気候変動を1番に打ち出すと、「余裕のある人の趣味」に見られてしまうので。』


本意

ジェンダーの問題は大変重要であり、行政として取り組むべきテーマである。

しかし地方では都市部に比べジェンダーや気候変動などのグローバルな問題の重要性を認識している人がまだ多くないため、それらの話を先にしてしまうと

「政治家先生は自分の生活に余裕があるから、我々の貧困などのリアルを無視して高いところから思想(≒趣味)の話なんかしてられるんだ」

と捉えられる可能性があり、そうなると話そのものを聴いてもらえなくなってしまい、結果ジェンダー問題についても聴いてもらえなくなる


与えてしまった悪印象

米山氏はジェンダー問題を余裕のある人の趣味と認識している。

所詮男の政治家はジェンダーの問題の重要性がわかっていない

だから過去に、女性の性や人権を軽んじた結果としての買春をした。そんな人間に政治を任せられない。この人は私たちの気持ちを理解していない


問題点

・第一は、センシティブなテーマに対して趣味という言葉を使ってしまった迂闊さ。

Twitterでは長文での説明が困難なため、誤読される可能性は十分予見できたはず。

・第二は、誤解を与えたことについて謝罪し、本意を丁寧に説明するべき場面で、

言葉足らずを認める前に相手の誤解を指摘するリプをしてしまった結果、相手の気持ちを逆撫でし反感をエスカレートさせてしまった点。

クレーム対応としては完全に失敗している



【仁藤氏の言葉】

『妻も夫の性欲処理機ではない』


本意

米山氏を擁護する意見の中に

「彼が買春したときは未婚であったが、現在は妻帯しているので若い女性に性欲を抱くことはなくなり、買春もしない」

というものがある。

まず大前提として女性を男性の性欲処理の対象として扱うことは許されざることであり、買春など言語道断である。

「妻帯したのだからもう買春はしない」

という意見は、買春しない代わりに妻で性欲処理をすると言っているに等しい。

妻となっても女性の権利は婚前と変わらず守られるものであり、妻を夫の性欲処理の対象と見做すことは許されない。

よって、室井氏が米山氏の性欲処理の対象と見做されることも許されない。


与えてしまった悪印象

「買春する男は女性を性欲処理の対象として扱っている」

という前提で米山氏を断罪する文脈の中で

「妻も夫の性欲処理機ではない」

という言葉が出れば

「にも関わらず買春をする男は(他の女性を見るときと同様に)妻を性欲処理の道具と見做している」

という続きがあるように読めてしまう。

つまり米山氏が妻を性欲処理の対象として見做していると読めてしまうため、米山氏の妻である室井氏からすれば

「仁藤氏に『米山に性欲処理機と見做されている女』扱いされた」

という受け止め方になり、その結果Twitterのプロフィールを

「仁藤夢乃さんから公認をいただいた『夫の性欲処理機』」

と変更するほどに怒ってしまった。


問題点

・「性欲処理機」というネガティブで侮蔑的な言葉のインパクトが、本意を超えた悪意を感じさせてしまっている。

フェミニストを始め活動家の方はしばしばこういった強いワードを論争において使うため、読む人間に無意識のうちに強い反感を抱かせてしまいがち

・また、この前の文脈において仁藤氏の言説が米山氏の人格への攻撃になっていたことで、この文も攻撃の一つとして捉えられてしまった感がある


◼️一市民の希望◼️


・言葉足らずや捉え方の違いを互いに責め合っていても建設的な話し合いにはならないし、せっかくジェンダーの話を政治に生かしていく機会が単なる小競り合いで終わってしまう


・まずそれぞれの考えや立場は一旦置いておいて、誤解があったのであればそこは言葉足らずを詫びるなどしたうえで、お互いに使っている言葉の意味についてコンセンサスをとり、その上で改めて互いの立場で議論をするべきではなかろうか。


・言葉尻合戦が済んだ後に話すべきは

政治家として米山氏がジェンダー問題にどのように取り組むかの表明

ジェンダー問題を提唱するフェミニストの方々の意見の聴取

それぞれの意見の是非についての議論

(ここが一番大変だろうけど大事なとこ)

議論の結果を政策に繋げていく


という感じでは?


・有意義な議論によって、異なる考え方の者達が手を取り合い、社会をより良くしていくために力を合わせていく

そんな過程の中に希望を見出したいと思いながらこの論争を見守っている者は決して少なくないだろう。

私もその一人である。