菅はもう「詰み」!政局主導権を完全掌握 小沢軍団が繰り出す強烈パンチ

(日刊ゲンダイ2011/2/21)

最初の山は[3・2]予算案衆院採決

小沢系16人の会派離脱表明後初めて、きのう(20日)、小沢一郎・民主党元代表が公の場で口を開いた。沖縄・南城市で行われた党所属議員の会合で挨拶したのだ。集まった報道陣は、16人の行動についてどう話すのか期待したが、小沢はそのことには直接触れず、「政権交代を目指した初心に帰る」といつもと変わらず挙党一致による公約実現を訴えた。

小沢が落ち着いていられるのは、もはや菅首相が“詰み”の状況に追い込まれているからだ。政治ジャーナリストの野上忠興氏は「一寸先は闇といいますが、(16人の決起で)政局の主導権は瞬時に小沢側に移ってしまった」と言った。これから先、菅が退陣しようが

、解散しようが、小沢サイドはどんなパターンでも対応できるシナリオとセーフティーネットを用意している。
「各社の内閣支持率が一気に10%台に落ち込んだ。追い詰められれば、菅首相は今週退陣」(中間派議員)という見方すら出ているほどだ。

たとえ今週辞めなくても、3月末までに菅政権が迎える国会日程上の「ヤマ」は3つある。1.3月2日までの予算案の衆院採決2.3月中下旬の予算関連法案の衆院再可決3.野党が提出する内閣不信任案――である。
「1と2では、会派離脱を表明した16人の造反があり得る。1の造反で党が処分すれば16人は離党するでしょう。②の場合、野党の協力を得られない限り16人の造反で関連法は否決され、菅首相は退陣か解散の決断を迫られます。3の不信任案可決には民主党から75人の賛成が必要ですが、『反対=菅信任』になってしまうので、小沢系だけでなく中間派も含めて賛成に回り、不信任が可決される可能性は高い」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

菅が退陣を選べば、民主党は代表選だ。小沢サイドにしてみれば、挙党一致を約束する人物を擁立すればいい。
「原口さんに樽床さん。小沢サイドの支援を得てやりたい人はいる。菅さんがここまで追い詰められたのを見れば、あの前原さんだって挙党態勢に寝返るかもしれない」(小沢系議員)

菅が解散を選べば、民主党は分裂し、政界再編に突入する可能性がある。
「倒閣に動いた勢力は、菅民主党とは、もはや政策やマニフェストが違うのだから、一緒の党で選挙を戦えるわけがない。民主党Aと民主党Bに割れることになる。その時のために、小沢サイドはセーフティーネットを張ってある。ひとつは、河村名古屋市長や橋下大阪府知事との連携。そしてもうひとつは自民党や公明党との連携です。河村市長が大村愛知県知事を連れて小沢さんを訪ねましたが、あれは大村さんを小沢さんに会わせたことが肝。増税反対の上げ潮派へのシグナルだったというのです」(政界関係者)

菅が土俵から転げ落ちていくのを、静かに待てばいい――。いまの小沢の心境は、そんなところだ。



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