戦略ゼロ 候補者乱立 風任せ [それみろ!小沢がいないと選挙に勝てない民主党]

(日刊ゲンダイ2011/2/8)
県知事選の惨敗は4年前からわかっていた

昨夏の参院選以降、地方選挙で民主党が負け続けている。「松戸ショック」「茨城ショック」「西東京ショック」に続き、6日の愛知ダブル選では、恥辱の大惨敗を喫した。「民意が離れた」「政権交代への失望」と、もちろんこれらが大きな理由だろうが、それだけではない。ひと言で言うと、民主党は組織がガタガタなのである。
「党本部はそもそも、野党と与党の選挙は違うということが分かっていない。与党になれば、常にマスコミに厳しく叩かれ、世論はそれを後追いする。無党派層が逃げていくから、風頼みの選挙はできない。しかし、そんな当たり前のことすら分からないのです」(地方県連幹部)
選挙は「候補者選びが8割」(ベテラン秘書)とされる。だが、民主党では、野党時代の延長線上で「来るもの拒まず」の候補者選考が続いている。「政権与党になったのだから、地方選挙でも躍進できるはず」という驕(おご)りと慢心である。ただ単に候補者の数を増やすだけでは議席は増えない。松戸は11人擁立して2人、茨城は24人で6人、西東京は7人立てて3人しか当選できなかった。候補者の粗製乱造と言われてもしようがないだろう
「当選ラインは、市議で1500~2000票、県議は1万票程度です。1年で3万軒、4万軒を歩いて、地元に密着している候補者なら取れない票ではない。ところが民主党は、国会議員の知り合いという程度でも公認してしまう。どこに住んでいるのか、どれだけ名簿を持っているのかさえ調べない。『公募で候補者選考』と言えば聞こえはいいですが、集まるのは単に政治家に“就職”したい無名の人ばかりです。それでも野党時代は『風』で通った。しかし、民主党の看板そのものが嫌われている今は、候補者自身に実力がなければ勝てません」(ベテラン秘書)
愛知県知事選も、候補者選びの段階で負けが決まった。落選した民主推薦の御園慎一郎は、4年前の知事選でも名前が浮上したが、当時の小沢一郎代表が「御園で勝てるのか?」と疑問を呈した人物だ。60歳近い元官僚。首長としては最も嫌われるタイプだ。岡田幹事長が「候補者差し替え」の英断を下していれば、ここまで大差にはならなかったが、その岡田幹事長がダメなのである。
(つづく)


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