“追い詰められ離党”は本当か?剛腕小沢の逆襲が本格化する

(日刊ゲンダイ2010/12/22)

◆タイミングを計り党を菅から奪い取る

「占い師に『あと60年生きる』って言われたんだ」
小沢一郎元代表は、最近、会合でこんなことを口にするという。現在68歳。さすがにあと60年は大げさだが、やり残した仕事がそれぐらいたくさんあるという気持ちの裏返しだろう。そういえば、支援者が開いた忘年会でも、小沢は今の心情をこう話していた。
「小平氏は、68歳の時に文化大革命で地方に飛ばされた。しかし、艱難辛苦の末に帰ってきて、改革・開放で経済成長路線へ導いた。私も68歳です」
政倫審出席を蹴った小沢に対し、大マスコミは「次は証人喚問だ」「執行部は離党勧告も辞さない」などとまくし立てる。“追い込まれる小沢”という構図に持ち込むのに必死だ。
しかし小沢は、菅首相のように“近視眼的”ではない。もっと長いスパンで政治をとらえ、官僚主導国家ではなく、「国民の生活が第一」の国に変えなければならないという信念を持ち続けている。「強制起訴されたら、裁判で長ければ2、3年動けない」というが、政権交代を実現するまでにかかった年月に比べれば、2、3年なんてたいした長さではないのだ。焦っているのは菅の方だ。
「菅―岡田は、小沢さんが拒否しても議決で政倫審に引っ張り出すつもりだったから、野党がまさか議決に反対するとは思ってもいなかった。『証人喚問』は想定外です」(官邸事情通)
来年1月13日の党大会で地方が火を噴く、と小沢に言われたことも菅を追い詰める。それで、「1月12日に小沢強制起訴。その後、離党勧告」とかいう、あからさまな情報まで流され始めた。
だが、小沢は現状を達観している。自分から党を割ることはない。小沢に近い議員はこう言う。
「小沢さんは、『これだけバッシングされたら普通(政治的に)死んでいる。俺だから平気』『勝負は、劣勢の時に我慢できるかだ』と言います。先に動いた方が負け。離党する気なんてサラサラない」
菅との直接会談の前、小沢は側近に「一切動くな」と指示していた。
むしろ、小沢は党を菅から奪い取るつもりだ。指導力のない菅に対する不満を党内に充満させ、タイミングを計って執行部を乗っ取るシナリオさえ練っているという。
小沢の逆襲は、静かに始まっているのだ。




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