小沢一郎「闘争宣言」の真意  (日刊ゲンダイ2010/12/16)


◆「世界の指導者が2012年に交代する」

小沢一郎が「闘争宣言」をブチ上げた。きのう(15日)、都内で開いた「小沢一郎政経フォーラム」のあいさつで、強制起訴問題について触れたなかで「いずれ裁判で決着がつくのだから、国民のために頑張りたい」と明言。その上で「世界の指導者が2012年に交代する。日本も軸足を定めないといけない」と発言、政権担当への意欲を示したのだ。米大統領選や(日本の)民主党代表選を念頭に入れたものである。
一方で、執拗に小沢排除を進める執行部への批判も飛び出した。
「政倫審問題について『野党から言われているわけでもないのに、党内から内輪もめみたいに出ろと言われるのは筋が違う』と、出席拒否の姿勢を明確にした。さらに、尖閣問題などの対応を踏まえ『トップが結果責任を取らないといけない』とピシャリ言い切ったのです。稚拙な政権運営、問責問題をすり替えようとする姑(こ)息(そく)な手法に呆れ返っているのでしょう」(政界関係者)
当然だろう。お粗末な国会運営、外交の大チョンボ、地方選連敗――。その責任を何ひとつ取らず、すべてを小沢の「政治とカネ」問題にスリ替えることで延命を図ろうとしている菅・仙谷コンビと岡田幹事長の姑息なやり方には、党幹部も憤然としている。
「ある幹部は『茨城県議選で負けたのは小沢が政倫審に出ないからじゃない。政倫審問題ばかり役員会で取り上げ、党内が、親小沢だ、反小沢だと騒いでいることに国民がうんざりしているんだ。それが支持率低下に表れている』と漏らしていた。内ゲバを煽るようなことをやっている状況か、というわけです」(前出の関係者)


そんなゴタゴタを前に、小沢もひと言、クギを刺したのだろう。大マスコミは小沢の執行部批判を取り上げ、「民主亀裂深まる」などと騒いでいるが、注目すべきは小沢の冒頭の「決意表明」だ。公の場で政治活動継続を表明、しかも政権への意欲まで示したのである。


◆単なる執行部批判ではない

その真意はどうなのか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこうみる。
「小沢さんに本当に近い20人ほどの議員たちは『せっかく政権交代したのに党を割るようなことはしない』『こんな時期に政局にしてはいけない』と言っています。これが小沢さんの本心なのですよ。党を割るつもりなら、とっくに出ているし、鳩山兄弟らと公然と会ったりしませんよ。今こそ原点に返り、挙党一致で改革を進める。で、ゆくゆくは政権交代可能な2大政党制を築き上げる。その実現のために、いまは一兵卒で協力し、来年、裁判が終わったら自分が前面に出て行く。パーティーでの発言は、最後は自ら総理を目指し、改革を成し遂げるという意思表示ですよ」
政権を知り尽くしている小沢にすれば、菅政権の短命は百も承知。だからこそ、ここで党をまとめておかないと、民主党は国民に完全にソッポを向かれ、旧体制派の思うツボ。政権交代の意味がなくなってしまう。やがて登板の時期が来たら自分が……という思いなのだろう。
自らの保身、政権延命のために、ことさら騒ぎを大きくしている菅・仙谷・岡田の姿が情けない。





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