[党内抗争激化]「更迭」される前に先手・延命策打った仙谷長官の悪辣

(日刊ゲンダイ2010/12/13)

小沢「政倫審」きょう役員会で決定


◆これで内閣改造ナシとニンマリ

注目された茨城県議選は、予想通り民主党の大敗に終わった。これで党内の内紛が激化するのは確実だ。いよいよ「小沢一郎vs.仙谷由人」の最終攻防に突入である。
臨時国会の閉会後、降って湧いたように、持ち上がった小沢の「政倫審」招致問題。執行部は、きょう(13日)午後にも役員会を開いて強引に小沢招致を決めたい方針だ。
国民の関心が薄かった「政倫審」が、いきなり大問題になった裏には、「陰の総理」仙谷官房長官の悪辣な生き残り策が隠されている。

「小沢周辺は、茨城県議選で敗北したら地方議員を中心に“執行部批判”が噴出すると、かなり前から懸念していました。小沢周辺が心配したのは、求心力を失い、支持率が下がった菅内閣では、通常国会を乗り切れないということ。とくに、問責決議が可決された仙谷官房長官が閣内に居座ったままでは、野党が審議に応じないことは目に見えている。もはや、誰の目にも通常国会の前に内閣改造を行って、仙谷長官を更迭するしかないのは明らか。実際、小沢グループは県議選後、両院議員総会の開催を求め、その場で仙谷長官の更迭を要求するつもりでした」(民主党関係者)


ところが、危機を察知した仙谷一派が、先手を打つように持ち出したのが、小沢の「政倫審」招致だった。「政治とカネの問題をクリアにしないと4月の統一地方選に勝てない」「小沢が政倫審に応じないと通常国会が円滑に進まない」と、あらゆる問題を小沢に責任転嫁した。
本来、茨城県議選や予算編成で大変なこの時期は、党内が一致団結しなければならないのに、保身のために、わざわざ党内抗争を引き起こしたというわけだ。
「さすがに小沢グループも、反小沢一派の薄汚いやり方に怒り狂っています。そもそも、野党が通常国会の審議に応じないと言っているのは、問責された仙谷長官が辞めないからです。小沢問題は関係ない。かりに政倫審に応じても、『次は証人喚問だ』と問題を大きくするだけ。ますます野党は審議に応じなくなる。なにより、ここまで菅内閣は、国政、知事選、市長選、県議選、市議選……とあらゆる選挙で敗北しているが、小沢問題が選挙の争点になったことは一度もない。菅・仙谷コンビの失政が原因でしょう。なのに、菅首相も岡田幹事長も仙谷長官も、自分たちの生き残りのために、小沢の政治生命を奪おうとしている。小沢グループは一歩も引く気はありませんよ」(政界関係者)

小沢をワル者にして党から追い出せば、自分の更迭はウヤムヤになるとニンマリしているのだろうが、これ以上、仙谷長官が権力にしがみつこうとしたら、ホントに民主党は分裂の危機だ。



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