[国会異常事態]1ヵ月半経つのに、法案成立は37本中2本だけ  (日刊ゲンダイ2010/11/18)


180億円も使って何をやっているのか


─10月1日に臨時国会を開きながら、やっと補正予算案を衆院通過させた菅内閣。驚くのは、政府提出法案が、まだ2本しか成立していないことだ。この内閣の無能ぶりは、どうしようもない。

菅内閣が臨時国会に新規に提出した法案は20本。この中には、いったん廃案となった国民新党が切望する「郵政改革法案」などの重要法案が含まれている。さらに、前の国会からの継続審議となっている法案が17本もあるのだ。

ところが、成立したのは、継続審議となっていた「改正保険業法」と「土砂災害防止法」の2本だけ。この臨時国会に新規に提出した法案は、成立ゼロ。この先、成立しそうなのも、国家公務員の給与改正法案ぐらいだからヒドイものだ。


「法案審議が進まないのは『ねじれ国会』だけが理由ではありません。衆参で多数を握っていた通常国会でも、菅内閣の法案成立率は54%と戦後最低だった。64本のうち、35本しか成立させられず、多くが廃案になった。普通は8割程度は成立するもの。菅内閣の成立率の低さは異常です」(政界関係者)
国会を開くと1日3億円の税金がかかる。会期末の12月3日まで、かかる経費はざっと180億円だ。180億円の税金を使って、法案成立が1本、2本なんて、税金のムダ遣いもはなはだしい。

「法案が成立しないのは、民主党の『国会対策』が機能マヒに陥っているからです。本来、与党の国対は、野党をスキャンダルや解散で脅したり、他の法案と取引するなど、手練手管を使って駆け引きするものです。ところが、岡田幹事長も枝野幹事長代理も、まったく根回しができない。野党とのパイプもない。鉢呂国対委員長も『第2の岡田』とい

われるほどガチガチの原理主義者。ただ突っ走るだけ。最悪なのは、国会運営に不慣れなくせに、見通しが甘いことです。せめて、補正予算を10月上旬に提出しておけば日程に余裕ができたのに、10月下旬まで提出しなかったから、タイトになってしまった。もともと、民主党の国会運営は小沢グループが一手に引き受けていた。ところが、国会運営を熟知し、野党の弱点を知り尽くした小沢グループを排除したのだから、国対が機能不全になるのも当然です」(民主党関係者)

9月の代表選で菅再選を支持した大マスコミは、見て見ぬフリを決め込んでいるが、そんな場合じゃないのだ。






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