第五検察審査会議決は違法・無効である!

日本一新の会 染谷正圀
(THE JOURNAL 2010年10月 8日 10:44)  http://bit.ly/axmdVI


 検察審査会によるいわゆる「起訴議決」が刑事訴訟法の訴訟手続きとは体系を異にするものとはいえ、行政措置にすぎない検察審査会による起訴議決は、即公判請求とはならず、検察審査会法は裁判所が指定した指定弁護士が検察官の職務をなすこととしている。


 そして、検察審査会法第41条の10は、「指定弁護士は、速やかに、起訴議決に係る事件について公訴を提起しなければならない」とするとともに、「ただし、次の各号のいずれかに該当するときはこの限りでない」として、「起訴議決後に生じた事由により、当該事件について公訴を提起したときは刑事訴訟法第337条第4号又は第338条第1号若しくは第4号に掲げる場合に該当することなることが明かであるとき」として「公訴断念規定」を置いている。


 ここでいう刑訴法338条4号の場合とは「公訴の手続きがその規定に違反したため無効である」ときは、「判決で公訴を棄却しなければならない」場合のこと、つまりは起訴独占権を有する検察官による乱訴の排除規定であり、検察審査会法は、刑訴法のこの規定に準じて第41条の10の第2項に於て「指定弁護士は、前項ただし書きの規定により控訴を提起しないときは、速やかに、前条第1項の裁判所に同項の指定取消しを申して立てなければならない。この場合において、当該裁判所は、前項ただし書き各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、その指定を取り消すものとする」との規定を置くことで検察審査会による「政治的起訴議決」の排除を図っている。


 翻って今回の東京第五検察審査会の2回目の議決を見ると、以下の看過できない瑕疵を指摘せざるを得ない。


 まず第一に、議決の「まとめ」は、「検察官は、起訴するためには、的確な証拠により有罪判決を得られる高度の見込みがあること、すなわち、刑事裁判において合理的な疑いの余地がない証明できるだけの証拠が必要になると説明しているが、検察官が説明した起訴基準に照らしても、本件において嫌疑不十分として不起訴処分とした検察官の判断は首肯し難い。検察審査会の制度は、有罪の可能性があるのに、検察官だけの判断で有罪になる高度の見込がないと思って起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によってほんとうに無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。


 そして、嫌疑不十分として検察官が起訴を躊躇した場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法定で黒白をつけようとする制度であると考えられる」とのべ、「有罪になる高度の見込がない」とは「無罪の可能性を排除できない」という、刑事裁判における推定無罪原則などどこ吹く風の暴論を展開している。


 そこから、第2には、別紙の「犯罪事実」において、


1)政治資金規正法第25条第1項第1号から第3号までが規定する政治資金収支報告書の記載に係る罪は、会計責任者の身分犯罪であるにもかかわらず、同条第2項において「前項の場合において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、50万円以下の罰金に処する」とされる陸山会代表の小沢氏を虚偽記載罪で起訴すべしとの議決は、誣告行為にほかならない。


2)小沢氏からの借入金の収支報告書への記載がことの発端であるにもかかわらず、借入金を収入として記載しなかったとか、平成16年10月に陸山会が土地を取得したとするのは農地法の規定を無視した認定である、などにみられる虚偽記載とする事実認定にそもそもの誤りがある。


 よって当該議決は、検察審査会法第41条の10の、ただし書き第3号に該当するものにほかならないものであり、議決は無効であると断ずる。