民主党は総理を小沢に変える必要がある

(日刊ゲンダイ2010/10/2)

菅首相の頭脳に疑惑の声

─夫人ともども少し怪しいんじゃないかと訝るこの国を憂える人の見方
─ヌレギヌのカネ疑惑は、もはや検察の敗北となった今、もう一度民主党代表選をやり直し小沢を代表に選び直せという国民の声

郵便不正を巡る証拠改ざん事件は、とうとう大阪地検の大坪弘道前特捜部長(57)が逮捕される前代未聞の事態に発展した。大坪は前田恒彦検事(43)の不正を知りながら、過失に見せかけるように指示したのである。同じく前田の上司だった佐賀元明前副部長(49)も、一緒に逮捕された。
そこまでして、検察が冤罪事件をデッチ上げたのは、この事件に民主党の石井一衆院議員(当時)が関わった構図を描いていたからだ。つまりは、民主党潰しである。そのためには組織ぐるみで何でもやる。戦前の特高警察さながら。背筋がゾッとしてくるが、こうなると、小沢一郎元幹事長の「政治とカネ」の疑惑も当然、怪しくなってくる。結局、小沢は起訴できなかったのに、秘書は捕まえて、小沢潰しに奔走した。マスコミにありもしない疑惑をリークし、検察審査会を誘導。小沢幹事長を辞任させ、政治生命を絶とうとした。この「政治とカネ」が9月14日の代表選にも影響したのだ。
デッチ上げ検察の実態が明らかになった以上、もう一度、代表選をやり直すべきではないか。こんな声が日増しに強まっているのである。


◆検察がデッチ上げた小沢疑惑の虚構
「菅首相は先の代表選で『クリーンな政治』を掲げ、政治とカネの問題で小沢一郎氏を徹底的に批判しました。『小沢ノー』という消去法的選択で大マスコミを味方につけ、党員・サポーター票を取り込んだ。ところが、その“前提”が崩れたのです。逮捕された大阪地検の前田検事は、小沢捜査で元秘書の供述調書も取った人物です。恐るべきデッチ上げ捜査が分かった今となっては、小沢氏だけが狙い撃ちされた一連の事件全体も疑ってかかった方がいい。怪しい検察のリークに乗っかり、世論を操作した大マスコミもいまや灰色だし、大マスコミを利用して代表選に勝った菅氏もグレーです。代表選はやり直すべきですよ」(筑波大名誉教授・小林弥六氏)


◆国民が恥ずかしくなる首相でいいのか
まして、ここにきての菅の迷走、目を覆うばかりのデタラメ無責任政治なのである。小沢待望論が沸き起こるのは当然だ。
菅の無能・トンチンカンを挙げていけばきりがないが、1日の所信表明演説にも呆れた。「わが国周辺に存在する不確実性・不安定性は、予断を許さない」と語ると、「国民一人一人が自分の問題としてとらえ、国民全体で考える主体的で能動的な外交を展開していかなければならない」とか言うのである。
自らがまいた種で領土問題になり日中関係は緊迫化、いまだ邦人1人が拘束されているのに、「国民が自分の問題としてとらえろ」とか言う。憲法改正でもするつもりなのか。能動的外交って何だ? 中国漁船を捕まえることか。腰砕け外交の当事者が「よく言うよ」だ。
しかも、菅はこの期に及んで船長の釈放を「検察の判断だ」「捜査への介入は一切ない」と言い続けるのだ。国民全員がそんなことはウソだと知っているのに、それでもなおシラを切る神経にはア然とする。
この首相の頭は大丈夫なのか。本気で不安になってくるのである。

◆ものの見事に当たった小沢の予言
「今回のケースでは、確かに、日中関係を考慮して船長を解放することも、高度な政治判断としては選択肢のひとつでしょう。ならば、自分の選択だと言えばいい。その代わり、その後に起こる問題にどう対処するか。いざとなれば責任を取る。それが首相の責務のはずです。ところが、菅首相はそもそも、自分は判断さえしていないと開き直る。国民の誰もが分かり切っているウソを繰り返す。政治主導を掲げていた民主党の代表でありながら、検察の信頼が失墜したこの時期に、検察が判断したと平然と言う。首相として、それ以前に、政治家としての資質を疑ってしまうし、国民としても恥ずかしいですよ」(政治評論家・山口朝雄氏)
こんな男をリーダーにしている日本は不幸だ。今や多くの国民が「日本の首相は表に出せない」と感じ始めている。だったら、ますます、小沢首相の方がいいのではないか。
そもそも、小沢が代表選に手を挙げたのは菅の無能と支離滅裂を見抜いていたからだ。この首相では日本はダメになると、出馬を決断したのである。その“予言”がものの見事に当たってしまった。


◆目に余るデシャバリ夫人のハシャギ方
そのうえ、輪をかけて目に余るのが、あの出しゃばり伸子夫人だ。亭主が首相に就いて、わずか1カ月余りで自叙伝を緊急出版するハシャギぶり。「官僚と仲良くやる内閣にして」と注文を付けたのは家庭内のことだから許すにしても、日がたつにつれて、公然と政治に口を出し始めていることには、驚く。こちらもマトモな神経じゃないようだ。
とくに代表選での動きは常軌を逸していた。地方議員の名簿を入手して1日200件近く電話をかけまくったり、議員会館の民主党議員の部屋を片っ端から、あいさつ回りしたり。テレビ出演も頻繁で、「小沢さんは親分子分の縦社会がお得意」「鳩山さんは政治家になぜなったのか」などと言いたい放題。民主党の国会議員はよく黙っているものだ。「古今東西、暗愚な指導者がトップに立ち、女性が権力を振るった国は、ことごとく滅んできました。今、どの国のファーストレディーを見渡しても、彼女ほど政治に口を出している夫人はいないのではないか。そんな夫人をたしなめることもできない菅首相は、ますます無能に見えてきます」(小林弥六氏=前出)
これ以上、国民の信頼を失いたくなければ、民主党は今すぐ代表選をやり直し、小沢を総理に代えるべきだ。
検察情報に乗っかり、小沢の「政治とカネ」を叩きまくった連中は、どう落とし前をつけるのか。頭を丸めて欲しいものだ。