尖閣問題と検事総長のクビ 許すな!菅内閣・最高検 裏取引説

(日刊ゲンダイ 2010/9/29)
民主党は暴走検察と手を握ったのか

大阪地検の「データ改ざん事件」は、底ナシになってきた。特捜部ぐるみでデータ改ざんを隠蔽していた疑いが濃厚になっている。最高検は今週中にも、当時の特捜部長と副部長を犯人隠避の容疑で逮捕する構えだ。ここまで組織的な犯行が明らかになれば、検察トップに責任が及ぶのは当然のこと。ところが、検事総長はお咎(とが)めナシになりそうだという。菅内閣と最高検が“裏取引”をしたという情報が一斉に広がっているのだ。
菅内閣と検察の“裏取引”の材料になったとみられているのが、尖閣沖での衝突事件だ。那覇地検の次席検事が24日、突然「今後の日中関係を考慮した」と逮捕した中国人船長を釈放してしまった一件である。
菅首相は「検察当局が総合的に考えた」と、官邸の関与を全面否定しているが、誰が見たって政府が“政治主導”で中国人船長を釈放させたのは明らかだ。

さすがに、民主党出身の西岡武夫参院議長も「政府首脳になんの連絡もなく地検が釈放するはずがない。釈放は仙谷官房長官が判断したと思わざるを得ない」「立法府の長として看過できない」「那覇地検に責任を負わせるのは姑息だ」と批判したほどだ。
「国民から『中国政府の圧力に屈して超法規的に船長を釈放した』と責められたくない菅内閣が、那覇地検に責任を押しつけて釈放させたのはミエミエです。釈放が決定した前日の23日、外務省担当者が官邸と協議し、その足で那覇地検に飛んでいる。官邸の意向を伝えたのは間違いない。那覇地検は官邸の意向に応じたのでしょう」(霞が関事情通)
検察にとっても、官邸の意向は「渡りに船」だったという。菅内閣に“貸し”をつくれば、組織防衛が可能になるからだ。

「大阪地検の証拠データ改ざんが発覚し、最高検がなによりも恐れているのが、責任問題が上層部に及ぶことです。とくに検事総長が引責辞任に追い込まれることだけは絶対に避けたい。戦後、検事総長が引責辞任したことは一度もない。しかし、特捜部が組織ぐるみで犯罪に手を染めていたとなれば、検察トップの監督責任は免れない。すでに大林宏検事総長を更迭させ、後任に日弁連会長の宇都宮健児氏をあてるというプランも飛び交っている。民間人からの起用は、かつて小沢一郎も主張していた。そんな事態になったら、自分たちがやりやすいように築いてきた組織が崩壊してしまう。最悪の事態を避けるために、最高検が法を曲げて菅内閣に恩を売ったと考えてもおかしくない。実際、検事総長を更迭する権限は法務大臣にしかないから、内閣が一体となって検事総長を守れば、更迭は阻止できます。ただし、国民の不満を和らげるために取り調べの可視化には踏み切る方針だといわれています」(政界関係者)
おかしなことに、ここにきて民主党内から検事総長の責任を問う声がピタリとやんでいる。菅内閣と検察が自分たちの保身のために黒い取引をしていたとしたら、この国はもう民主国家ではない。