検察の民主政権つぶし謀略暴露!東で小沢をつぶし西で石井を狙う

(日刊ゲンダイ2010/9/24)

「村木無罪」と「小沢疑惑」の関連の真相をなぜ追究しないのか

◆その西の虚構が崩壊した以上、東の小沢捜査のデタラメ特高検察を今こそ徹底的に検証する必要がある
大阪地検の特捜部主任検事による証拠捏造事件は、「特捜部を解体しろ」の騒ぎにまでなってきた。検察の広報機関である“身内”の大新聞テレビまで批判する側に回っているから、今度という今度は検察にとって最大のピンチ。だから、何とか前田恒彦主任検事の個人犯罪に収めようとヤッキだが、とんでもないことだ。
そもそも、今回の郵便不正事件は最初から政治的に意図的に組み立てられたものだった。
逮捕された厚労省の村木厚子元局長らがニセ証明書を作成したのは「議員案件」だったから。つまり民主党の石井一議員が口添えしたから、村木局長らは不正に走ったというのが検察の描いた構図だった。
やがて、この構図はすべて公判で崩れたのだが、検察はなぜ無理筋を押し通そうとしたのか。狙いは、民主党政権潰しと考えるしかない。中堅議員がこう振り返る。
「大阪地検特捜部が手がけた郵便不正事件は昨年春ごろから騒がれ、4月に関係者の逮捕が始まった。石井一議員がターゲットという報道も増え始めた。ちょうど同じ頃、東京では東京地検特捜部が西松建設事件で政界捜査を始め、大久保隆規秘書が逮捕された小沢一郎代表は連日メディアに叩かれ、ピンチに陥った。あの時、間髪入れずに自民党の麻生首相に解散・総選挙を仕掛けられていたら、どうなっていたか。政権交代が実現していたかどうか冷や汗ものです。東西の特捜部が連携したのか知りませんが、タイミングからすれば、政権交代潰し以外の何物でもありませんよ」
だから当時、「東の小沢事件」「西の石井一事件」と言われたものだ。

◆グルの大マスコミはまだ懲りないのか
総選挙後の昨年9月、郵便不正事件で取り調べを受けた石井議員は、問題の前田主任検事から、「検事はほとんど自民党支持者だ。長く権力が続きすぎたので一体感ができている」と言われたという。あからさますぎて言葉もない。
その西の虚構が崩壊したのである。となれば、東の小沢捜査もいよいよ怪しくなってくる。疑ってかかるのが常識というものだ。
「検察が恐れたのは、取り調べの可視化。民主党が政権公約に掲げていたから、どんな手を使ってでも民主党を潰したかった。そんな検察の思惑の中で、小沢氏の西松建設献金事件が捜査され、本人までは無理と分かると、今度は水谷建設ルートで再び小沢捜査を仕掛けてきた。マスコミを操ってダメージを与え、政界からの排除を狙った。小沢氏抜きの民主党なら、どうにでもなると検察は計算しているのです。そんな政治謀略がらみの事件なのだから、マスコミはいつまでも“政治とカネ”などと抽象的に批判するのでなく、この機会に徹底的に小沢事件を検証すべきですよ」(政治評論家・本澤二郎氏)
本当だ。明治時代から戦前まで、検察は天皇制維持のために何だってやり、許されてきた。最近は拷問こそなくなったが、自分たちの権威を守るためのデッチ上げの伝統は受け継いでいたのだ。そのデタラメ特高検察の体質が暴露された以上、疑わしき事件はゼロから全部洗い直すのが急務なのである。

◆実は小沢事件も検察の構図は崩れ始めている
大新聞テレビは形勢が不利なこともあって、ほとんど報じなくなってしまったが、実は小沢事件の方も検察は崖っぷちだ。大マスコミがタレ流して大騒ぎしてきた検察の構図が次々と崩れ始めている。
昨年3月に大久保隆規秘書が逮捕された西松建設事件は、小沢側に献金した2つの政治団体が「西松建設のダミー」だったかどうかが最大の焦点。ところが今年1月の2回目公判に出廷した検察側証人である西松建設の元取締役総務部長が「ダミーとは思っていない」ときっぱり証言。検察側のストーリーを完全否定したことで、裁判はグチャグチャになっている。現在は、「訴因変更」ということで、審理がタナ上げ状態だ。「無罪の可能性大」というのが専門家の見方である。
もうひとつは、今年1月にハジケた水谷建設からのウラ献金疑惑と政治資金規正法違反。大マスコミが「政治とカネ」と騒いでいる事件である。しかし、検察がこだわった水谷1億円献金は具体的証拠がゼロで立ち消え。いい加減なものである。さらに、起訴された政治資金の虚偽記載でも大久保秘書と石川知裕衆院議員は公判で検察調書を否認する方針だ。とにかく大久保秘書を取り調べて調書を作成したのが、今回問題になっているデッチ上げの前田検事だけに、裁判所が検察調書を採用するかどうかも分からなくなってきた。総崩れになっておかしくない展開なのだ。
ジャーナリストの魚住昭氏が言う。
「この事件は、与党の最大実力者である小沢さんに対する検察の生きるか死ぬかの闘いだった。それが、どう調べても不起訴にするしかなかったのだから、検察の完敗。戦後初の大失態なのです。無理な注文でしょうが、検察は潔く敗北を認めるべきなのです。マスコミの中には、大阪地検特捜部と東京の特捜部では質が違うという見方があるそうですが、そんなことはありません。体質は同じ。マスコミ受けや功名心が先に立って、見立てを誤ることは大阪も東京も一緒です。マスコミも“村木さんは無罪になったが、小沢さんはクロ”という認識は早く捨てた方がいいですよ」

◆検察審の議決もこれでガラリと変わる
村木元局長事件に懲りて、大新聞テレビが小沢事件でも「公正・中立」になれば、いま政界の最大関心事である検察審査会の2回目の議決にも大きな影響を与える。
ま、マスコミに反省を求めるのは無理にしても、今度の大阪地検のデタラメ露見は、検察審にも衝撃だ。魚住昭氏が続ける。
「検察審が審査する主な材料が検察調書です。東京地検特捜部は小沢さんを何としてでも起訴しようとして調書を作成したから、それを読んだ一般の審査員は“小沢さんも共犯”と思い込んでしまう。しかし、今回の大阪地検の一件で、検事調書は実は信用できないことや、証拠も作られることを審査員たちも知ったから、小沢さんに“起訴相当”の議決を出すことを躊躇(ちゅうちょ)するはずです。その意味で、検察審の機能がやっとまともになるんじゃないかと思います」
来月末に予定される検察審の2回目議決。そこで小沢の不起訴が確定しても、検察とグルになってきたマスコミの小沢叩きは終わらないだろう。終止符を打つには、「特捜部取り潰しですまぬ」とまで言い始めた民主党政権が検察の腐敗体質とウミをしぼり出して、国民に示せるかどうかである。何も政治主導らしきことをやれない菅政権は、ここで意地を見せないと罰が当たるというものだ。