目玉なき菅改造内閣の短い運命

(日刊ゲンダイ2010/9/17)

政策にも人材にも目玉のない菅改造内閣は、発足早々から波乱続きとなる。
「党内の小沢勢力、ねじれ国会、難題だらけの外交と、菅政権は三重苦のスタートとなる。いまはまだ支持率が高いからいいものの、政権運営につまずき、支持率が落ち込んできたら一気にピンチを迎えます」(法大教授・五十嵐仁氏=政治学) 最大のネックは国会運営だ。7月の参院選惨敗で衆参はねじれ状態。かつて自民党の麻生政権を追い込んだ時と、攻守正反対の状況となる。
「ねじれ国会を乗り切るために、菅首相は政策ごとに協力を求めて法案を成立させる部分連合路線を取るとみられていますが、自民党のネチネチとした攻撃をどうかわしていくのか。相当に神経をすり減らすことになりそうです」(民主党関係者)
自民は、①景気・円高対策②普天間問題③政治とカネ問題などで、執拗に菅政権を攻め「一刻も早く解散・総選挙に追い込む」(谷垣総裁)と意気込んでいる。
みんなの党、公明なども民主を攻めて、有権者に存在をアピールしようと躍起になるから菅政権の国会運営は綱渡りの日々が続く。
「11月の沖縄知事選が終わったあたりから、一気に政局が動き始めますよ。普天間問題で大揺れになりますからね。そこへ2011年度予算編成が本格化してくる。財政再建、税制議論も絡んで国会は大荒れ必至の情勢になっていく。予算執行に必要な関連法案の審議が行われる来年春が最大のヤマ場となる。小沢グループにそっぽを向かれたら一巻の終わり。追い詰められた菅首相が形勢挽回を狙って解散に打って出る。あるいは予算成立と引き換えに退陣といった事態まで想定されています」(ベテラン記者)
菅改造内閣の命運はわずか半年。なんとも哀れな末路が囁かれているのである。